IoTプラットフォームの「SORACOM」を展開していて、ソラカメなどさまざまなIoT機器のハブを提供しているデジタル企業。2025年8月に丸紅グループの新会社に出資し、51%の株式を取得予定。年間の対象売上高は24.4億円。また、ホテル大手のヒルトングループから大型案件獲得とIoT関係の成長が期待できる。
株価下落のソラコム、前年比で成長性が1ケタ台、今後の行方は?(2025年2月15日投稿)
IoTプラットフォームのソラコム、筆頭株主はKDDIのビッグベンチャー企業!(2024年12月28日投稿)
■基本情報(2025年5月16日時点)
- 株価:867円(10年来高値:2,460円)
- 時価総額:391億円
- 予想PER:93.2倍
- PBR:3.89倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:75.0%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:6,145人(2024年3月31日時点)
- 事業価値:309億円
■ソラコムの業績は?
ソラコムの2025年3月期の売上高は89.9億円(前年比+13.4%増)、営業利益は6.6億円(前年比△9.7%減Z)の増収減益となった。ソラコムの売上総利益率は+56.0%(前年は+56.7%)、営業利益率は+7.3%(前年は+9.2%)と若干悪化となった。
ソラコムの売上総利益は前年の44.9億円→50.3億円と+5.4億円の増加、販管費は前年の37.7億円→43.8億円と+6.1億円の増加となり、営業利益は△0.7億円の悪化となった。ソラコムはリカーリングビジネスを展開しているため、将来の継続的な収益の獲得に力を置いており、現時点での利益はあまり重要ではない。
ソラコムはインクリメンタル収益とリカーリング収益(ストック収益)の2つに売上高が分かれ、インクリメンタル収益が大きくブレるのが難点だ。インクリメンタル収益はIoTデバイスやソフトウェアの提供のため、顧客への納入時期が売上計上のポイントとなる。
■ソラコムの事業状況は?
ソラコムはリカーリング収益の向上を事業のポイントとして進めている。年々、リカーリング収益が積み上がっていく計画だ。また、グローバルな売上高が前年比+30%を超える成長となる。売上高に占めるグローバル売上高比率は41.8%となっている。2026年3月には44.7%を目指す。
また、丸紅グループと戦略的協業や新会社設立を合意している。2025年8月にSIMカードの展開が期待できるMVNO会社をソラコム51%でスタートする。なお、丸紅グループはNTTドコモと協業しており、ソラコムはKDDIが親会社。NTTドコモとKDDIの協業的な事業モデルとなるか。
新会社の2026年3月期の影響額は売上高12.9億円、売上総利益3.6億円、売上総利益率+27.7%を計画する。売上総利益率が下がることは悩ましい。
■幅広いアライアンス
ソラコムは丸紅グループ、ヒルトングループと協業。次世代コネクテッドカーではトヨタ自動車と共同で取り組んでいる。次世代ガスメーターではニチガスと協業。
ソラコムの中長期目標は売上高200億円、リカーリング収益140億円を目指している。また、時価総額は1,500億円を目指す。
ソラコムは、ハンディーターミナル、POSレジ、プリペイドSIM、セキュリティ監視カメラ、ドローン空撮、遠隔操作などで活躍するIoTソリューションを提供。
■ソラコムの株価推移は?
ソラコムの時価総額は約400億円。2026年3月期に丸紅グループとのMVNO事業により成長性は復活する。いっぽう、収益性が下がる点が悩ましいところ。ただ、将来的にIoT機器がいま以上にあふれる世の中になるのは間違いないだろう。

以 上