国の難病指定疾患の指定を受けているパーキンソン病患者をターゲットに「PDハウス」を展開しているサンウェルズ。日本ではパーキンソン病に対して専門のリハビリや医療処置をおこなえる介護施設が少なく、サンウェルズはその需要に対してサービスを提供している会社。今後の業績と株価の行方は?
■基本情報(2025年8月12日時点)
- 株価:885円(10年来高値:3,880円)
- 時価総額:311億円
- 予想PER:赤字
- PBR:3.34倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:18.6%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:10,543人(2025年3月末時点)
- 事業価値:346億円
■サンウェルズの業績は?
サンウェルズの2026年3月期の第一四半期の売上高は66億円(前年比+5.9%増)、営業利益△5.0億円(前年同期は+5.8億円の黒字)と増収赤字転落となった。
サンウェルズの売上総利益率は+8.5%(前年は+23.9%)と大きく悪化している。すでに年間の営業利益も赤字の計画となっており、収益的に非常に厳しい状況だ。2024年9月に共同通信が報じた訪問看護における診療報酬の過大請求により不正請求額は約28億円ということがわかり、会社の方向性に大きな転換を与えた。
サンウェルズの業績推移をみると、2025年3月の4Qから売上高が大きく激減し、これまでのような収益があげることができない。
なお、前期にくらべて売上高は+5.9%増であるものの、PDは椅子施設数は35→46施設と+11施設(+31.4%)の増加となっている。
■サンウェルズの事業内容は?
サンウェルズは全国に46施設のパーキンソン病患者向けのPDハウス(有料老人ホーム)を展開している。関東に23施設、関西に11施設とドミナント戦略をとっている。2026年3月末までに+10施設を開設し、定員3,070名の施設を目指す。
PDハウスは脳神経内科による訪問診療、24時間体制の訪問介護を提供している。訪問介護・訪問看護となっているものの、医師や看護師が患者の自宅に訪問するのではなく、PDハウスに入居している居室に訪問するという形態となっている。診療報酬や介護報酬上は、入居者の居室を「自宅」とみなして訪問扱いできる制度となっている。
■不正請求について
今回のサンウェルズの不正請求は、施設内訪問の時間や回数を実態以上に記録したり、存在しない同行者を記録したもの。
2025年5月に東京証券取引所から2026年4月末での猶予期間が設けられ、再審査の結果次第で上場廃止の可能性も出てきた。上場契約違約金としては6,240万円の支払いとなった。
■サンウェルズの今後のビジネス展開は?
サンウェルズはPDハウスを増やしていき定員枠を増やすことに変更はない。既存のPDハウスの入居率は90%前後のレベルで推移している。新規開設のハウスは入居率が非常に低く、この入居率のコントロールが有料老人ホームのビジネスの肝になる。
サンウェルズの期末従業員数は3,950名、離職率は17.3%。だいたい、年間で500名くらいは離職する。そのため、新規採用は2026年3月期の約1,000名を予定している。
前年同期にくらべて今期の業績が大きく悪化しているが、既存施設の人件費増が+7.2億円の悪化要因となっている。もともと、人数が足りないなかで、不正請求の問題があり、人をいれないと介護報酬の請求ができない理由もあるだろう。
■サンウェルズの株価推移は?
サンウェルズの時価総額は約300億円。不正請求により、株価は最高値から5分の1くらいまで下落。今後の収益性を考えると、現在の株価も割高感がある。サンウェルズにかぎらず、アンビスホールディングスなど不正請求の疑惑のニュースが多い。
有料老人ホーム運営のアンビスホールディングス、難病患者のホスピス!
有料老人ホームは家賃、管理費などだけでは当然、収益を出すことができず、診療報酬、介護報酬で利益を出す仕組みとなっている。この家賃等の報酬、診療報酬、介護報酬のバランスをみながら、事業の成長性を考える必要がある。もっとも、バランスのよい上場企業はチャームケアではないだろうか。

以 上