マッチングアプリ「with」や初音ミクのVRライブの展開を進めるイグニス(3689)。直近の営業利益は赤字であるものの、新型コロナウイルスの影響によるバーチャルライブプラットフォーム「INSPIX WORLD」の将来性により株価は上昇トレンドに転換。リアルイベントを自粛する雰囲気のなか、VRを活用したバーチャルイベントの展開が期待されている。今後のイグニスの事業・株価はどうなるのか?
■基本情報(2020年8月28日時点)
- 株価:2,850円
- 時価総額:446億円
- 予想PER:-(未定)
- PBR:14.57倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:59.3%
- 会計基準:日本基準
■イグニスの事業と業績は?
マッチングアプリ「with」でしっかり資金を稼ぎつつ、VR事業で将来の種をまいているイグニス。2020年9月期の第三四半期の売上高は42.2億円(前年同期比+4.0%)、営業利益は△0.3億円(前年同期は△7.2億円の赤字)と依然として赤字がつづく。イグニスの売上高内訳をみると、マッチング事業は堅調に伸びているものの、ゲーム事業の縮小がつづいている。事業構成が大きく変化しているのがイグニスの特徴だ。
■イグニスのマッチング事業は好調がつづく!
ひと昔前は「出会い系サイト」と言われた男女の出会いの仕組みも、現在ではマッチング事業としてマイナスイメージなく広く受け入れられている。上場企業が主力事業として展開していても特に違和感はない。イグニスはマッチングアプリ「with」を展開していて、売上高は堅調に増加。イングニスのマッチング事業は営業利益をしっかり出す優良事業だ。
マッチングアプリとして知名度の高いのは、「ペアーズ(Pairs)」「タップル(tapple)」「Omiai」「Tinder」などだ。「ペアーズ」は未上場のエウレカが運営。「タップル」はサイバーエージェント(上場企業)が展開し、「Omiai」はネットマーケティング(上場企業)が展開している。マッチングアプリの競争は激化しているものの、市場全体が拡大している状況だ。
■期待されるバーチャルライブプラットフォーム「INSPIX WORLD」
イグニスの株価が好調な背景は、バーチャルライブプラットフォーム「INSPIX WORLD」の存在だ。新型コロナウイルスの影響によりリアルなイベントが自粛されるなか、バーチャルイベント(仮想空間でのイベント)の需要を引き起こす存在として大きく注目を集めている。現状はこのVR事業が属するエンターテック事業は、先行投資のため大きな営業赤字を計上している。その赤字をマッチング事業とゲーム事業でカバーしているのがイグニスの現状だ。
■イグニスの株価推移は?
イグニスの時価総額は約450億円。現在の売上規模や営業利益をみると、株価は期待が大きく先行している状況だ。バーチャルライブプラットフォーム「INSPIX WORLD」の収益化がしっかり立ち、営業利益5~20億円くらい稼げる事業になるのであれば妥当な株価かもしれない。Youtube(ユーチューブ)やインスタグラムなどのライブ動画が活発化するなか、イグニスの「INSPIX WORLD」がどのような位置づけに食い込めるか。イグニスの株価の妥当性を判断できない。この期待を上回る実績を出すか、実績を出せないか、その二択のどちらになるかに尽きる。
以 上