通信キャリアを中心に通信工事や都市インフラ(データセンタ、ドローン、水道インフラ維持管理、無電柱化など)の事業を行っているミライト・ホールディングス(以下、ミライトHD)。NTTグループ、KDDI、ソフトバンク、楽天などの通信キャリア向けだけでなく、都市インフラ関係の工事も実施しているミライトHD。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年1月15日時点)
- 株価:1,745円(10年来高値:1,988円)
- 時価総額:1,890億円
- 予想PER:11.0倍
- PBR:0.81倍
- 予想配当利回り:2.57%
- 自己資本比率:67.9%
- 会計基準:日本基準
■ミライトHDの業績は?
ミライトHDの2021年3月期の売上高は1,918億円(前年同期比+4.8%増)、営業利益は67.4億円(前年同期比+36.0%増)の増収増益となった。ミライトHDの売上総利益率は11.2%、営業利益率は3.5%とそれほど高くない。
■ミライトHDの業績推移は?
ミライトHDの業績推移を見ると、売上総利益率は12%前後、営業利益率は5%前後を推移している。ミライトHDにかぎらず、通信工事業界はそれほど利益率が高くない業界だ。2020年3月に売上高が大きく伸びている要因の一つとしては、楽天の設備投資(約1,900億円)が大きく影響していると思われる(ミライトHDがどれだけ受注したか不明であるが)。
■事業規模の拡大をつづけるミライトHD
ミライトHDは10年前は売上規模2,500億円だったものが、2020年には4,400億円まで増加。ミライトHDだけでなく、通信工事大手は業界の再編を進め、現在はコムシスホールディングス、協和エクシオ、ミライトHDの3社に集約されている。通信工事業界は利益率が低く、ある程度の規模で生産性をあげていくこと課題となっている。
■事業構造の転換を進めていくミライトHD!
ミライトHDにとって5G導入は大きな需要増になる。5Gだけでなく、ミライトはドローン事業や携帯通信インフラシェアリング、ローカル5G(企業など一定の範囲内で使用しる5G無線エリアの構築)の新しい事業に力をいれている。ローカル5Gとしては、5Gラボ(ミライト新木場ビル)に開設を予定して力を入れる予定だ。通信工事だけでなく、EV(電気自動車)向けの充電池設置事業は国内最大規模の施工実績をもっており、EVの普及が事業を後押ししそうだ。
ドローン事業は、2020年7月に株式会社ミラテクドローンを設立し、設備点検、測量、農業、災害復旧などの用途で新しい市場の開拓をめざしている。ドローンスクールを運営し、3年間で約600名のパイロットを輩出している。中部地方整備局や東北地方整備局から全天候型ドローンを受注した。
■ミライトHDの株価の行方は?
ミライトHDの時価総額は約1,900億円。割高感はない。ミライトHDの株価上昇の課題となっているのは低い利益率だ。営業利益は5%前後で、10%前後まで上昇すれば企業価値の評価は一気に変わるだろう。ドローン、ローカル5G、無電柱化、EV充電設備など新しい分野で高い付加価値をつけていき、利益率の改善をはかっていくことが株価の行方を左右する。
以 上