ペンタブレットのワコム(Wacom)、コロナで自社ブランド製品の海外需要拡大!オンライン教育の追い風も

 電子ペンタブレット製品やスタイラスペン製品の自社ブランド製品を展開しているワコム(Wacom)。新型コロナウイルスの影響によるオンライン教育拡大の影響などペンタブレット製品を中心にワコム製品の需要が拡大している。日本国内の前年比での伸び率は+12%であるものの、インド+95%増、韓国+91%増、欧州+55%増、米国+48%増と海外の需要が急増している。ワコムの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年1月30日時点)

  • 株価:936円(10年来高値:1,522円)
  • 時価総額:1,559億円
  • 予想PER:24.1倍
  • PBR:4.6倍
  • 予想配当利回り:0.8%
  • 自己資本比率:50.9%
  • 会計基準:日本基準

■ワコムの業績は?

 ワコムの2021年3月期の第三四半期の売上高は852億円(前年同期比+20%増)、営業利益128億円(前年同期比+123.6%増)の増収増益となった。ワコムの売上総利益率は+38.9%、営業利益率は15.0%と製造メーカーとしては高い。ワコムの電子ペンタブレットの世界シェアは8割と言われており、競争力が高い。

 基本的に大手企業とは戦わず、グーグルやマイクロソフトなどと手を組みChromebookやWindow10向けの標準ペンに組込まれる戦略をとっている。レノボ(Lenovo)、サムスン、HUAWEIなど世界のタブレットやノートPCにも組込まれているのが特徴だ。

■ワコムの売上高内訳は?

 ワコムは2つのセグメントに分けている。ブランド製品事業はワコムブランドのタブレットなどのディスプレイ製品(売上高:182億円)、ペンタブレット製品(同:220億円)、モバイル製品(同:16億円)となっている。ペンタブレット製品はオンライン教育向けの需要が拡大し、前年同期比+56%増となった。

 テクノロジーソリューション事業は、レノボ、DELL(デル)、HP、サムスンなどの大手メーカー向けの製品だ。大手と手を組むことで、安定的に利益を稼ぐことができる。

■海外向けの売上が拡大!

 ワコムはインド、韓国、ドイツ、米国を中心に自社ブランドの売上高が急増している。新型コロナウイルスの影響によりオンライン教育が進み、その影響でワコム製品の売れ行きが好調だ。ワコム製品の日本国内の伸び率は+12%にとどまり、海外の売上高増が業績を引っ張っている。

■ワコムの株価推移は?「GIGAスクール構想」の特需か?

 ワコムの株価は2020年3月のコロナショックから上昇をつづけている。現在のワコムの時価総額は約1,500億円。割高感はまだない。2021年3月期の業績予想は売上高1,060億円、営業利益130億円、営業利益率12.3%を計画している。最新の業績予想に照らすと、予想PERは20倍を割る水準だ。

 日本では、文部科学省が「GIGAスクール構想」として2023年までに児童生徒一人ひとりに学習用PCを支給し、高速ネットワーク環境(校内LAN)を整備する計画がある。ワコムの「Wacom One 液晶タブレット」を導入するとZoomやTeamsのオンライン会議アプリでオンライン上の黒板として活用が可能。対面授業に近い形でオンライン授業が可能だ。日本エイサーは「GIGAスクール構想」に対応したChromebookを発売し、ワコム製のスタイラスペンを付属している。

(画像4)ワコムの株価推移

以 上

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