JFEホールディングス傘下のJFEスチール(非上場会社)が約65%保有しているJFEシステムズ。社員持株会も約7%保有している。JFEシステムズは、売上高465億円、営業利益47億円、営業利益10%と非常に立派な業績を残しているものの株価の評価はそれほど高くない。時価総額は約270億円、予想PERは8.6倍にとどまる。JFEシステムズの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年4月28日時点)
- 株価:1,705円(10年来高値:2,390円)
- 時価総額:268億円
- 予想PER:8.6倍
- PBR:1.31倍
- 予想配当利回り:3.51%
- 自己資本比率:56.4%
- 会計基準:日本基準
■JFEシステムズの業績は?
JFEシステムズの2021年3月期の売上高は465億円(前年比△3.1%減)、営業利益46.7億円(前年比△2.9%減)の減収減益となった。JFEシステムズの売上総利益率は+22.2%、営業利益率は+10%。
■JFEシステムズの業績推移は?
JFEシステムズの業績はゆるやかながら成長トレンドがつづいてきた。2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で売上の伸びは前年割れしてしまったものの、経常利益率は+10%まで上昇している。
■JFEシステムズの事業内容は?
JFEシステムズはどのような事業をしているのか?JFEシステムズは1983年にJFEスチールの情報システム部門から独立して発足。JFEグループを中心に自動車産業、流通、金融業など900社を超える企業と取引をしている。しかしながら、JFEグループとの取引の占有率は高く、言い換えると安定した受注が入ってくるビジネス形態となっている。
JFEシステムズのソリューションとしては、電子帳票ソリューション、原価計算・採算管理システム、購買・調達システム、人事情報システム、SAP S/4HANAへの対応サービスなど製造業を中心としたITサービスを提供している。当初はJFEグループに提供して蓄積したソリューションを外部顧客にも提供しているという経緯だ。JFEシステムズはグループ間取引が多いため、税務面などを考えると、赤字案件はそれほど多く発生しないと思われる。安定して利益を出せるシステム会社だ。
■JFEシステムズの株価の行方は?
JFEシステムズは割安銘柄のひとつ。いっぽうで、JFEホールディングスの連結子会社であり、グループ間取引が多いため、爆発的に業績が伸びていく可能性は低い。この安定成長により低リスク・中リターンを実現している。長期の株価トレンドをみると、ここ5~6年で株価は3倍近くまで上昇している。ここまで株価が上昇しても、予想PERは8倍程度、予想配当利回りは3%を超えている。
いまの時代、IT部門はどの事業でも欠かせない存在。製造業の原価計算、購買・調達などのシステムはパッケージソフトではカバーできないケースが多い。大手企業では事業・製品の特性にあわせたシステム設計が必要になる。財務会計システムであれば、クラウド会計のfreee(フリー)、マネーフォワード、勘定奉行(オービックビジネスコンサルタント)などパッケージソフトの採用を考えられるが、一定規模以上の製造業であれば個別システムが必要になるケースが多い。
JFEシステムズのニーズがなくなることはなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)など需要が高まるチャンスは増えていくはずだ。引き続き、注目したい。ひとつだけ気になるのは、決算説明資料の質はもう少し改善してほしい。事業内容や現在の動向など内容が薄い。
以 上