個人間の中古品売買(フリマアプリ)の「メルカリ」やスマートフォン決済「メルペイ」を展開しているメルカリ(mercari)。2021年6月期の3Q(四半期のみ)は売上高287億円、営業利益1.6億円の営業黒字となった。2四半期の連続の営業黒字であるものの、決算説明資料で公表されているセグメント損益は「メルカリJP(日本)」のみ。メルカリの株価と業績は今後どうなるのか?
フリマアプリのメルカリ(mercari)、上場来高値を更新、営業黒字継続!(2021年2月14日投稿)
スマホ向けフリマアプリ国内首位のメルカリ(4385)、今後の株価は?(2020年5月17日投稿)
■基本情報(2021年4月30日時点)
- 株価:5,400円(10年来高値:6,400円)
- 時価総額:8,513億円
- 予想PER:-(未公表)
- PBR:23.3倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:14.7%
- 会計基準:日本基準
■メルカリの業績は?
メルカリの2021年6月期の第三四半期の売上高は769億円(前年同期比+44.1%増)、営業利益15.3億円(前年同期は△203億円の赤字)と増収黒字転換となった。メルカリの売上総利益率は+76.6%(前年同期は+71.9%)と改善傾向。四半期ベースで見ても、前期に引き続いて営業黒字となった。
■安定成長のつづく「メルカリJP」
メルカリの日本国内での月間平均ユーザーは1,904万人と安定的に増加している。2021年1月~3月の四半期(3か月)の流通総額(GMV)は2,086億円と過去最高となった。「メルカリJP」だけのセグメント別PLをみると、売上高202億円、営業利益46億円をたった3か月で稼いでいる。メルカリは「メルカリJP」で稼いだ利益を「メルカリUS」と「メルペイ」につぎ込んでいる構造がつづいている。
メルカリは月間平均ユーザー1,904万人と公表しているものの、日本国内で赤ん坊~老人まで総人口1.2億人のなかで、6人に1人が利用しているとは信じがたい面はある。そして、ここから伸びしろはどのくらいあるのだろうか?
■「メルカリUS」は好調!?
米国でフリマアプリを展開する「メルカリUS」の流通総額(2021年1月~3月)は320百万ドル(日本円換算で約320億円)まで増加。日本の流通総額は約2,000億円のため、「メルペイJP」にくらべると距離はあるものの、2021年3月は単月黒字となった(と公表している)。「メルカリUS」は投資段階で約1億人の視聴者数をほこる「Super Bowl LV」でテレビCMを放映するなど、積極的に認知度の向上のための投資をおこなっている。米国において、メルカリの競合としてはebayなど大手も存在する。
■「メルペイ」の進捗は?
スマートフォン決済サービスの「メルペイ」は数値での決算説明がないため進捗はわかりにくい。「メルペイ」利用者数が1,000万人を突破したと公表しているものの、Zホールディングスの「PAYPAY(ペイペイ)」と比べると、それほど利用してる人は周囲にはいない。何かキャンペーンなどがない限り利用しないという人も少なくないだろう。ただし、「メルペイ」はドコモの「D払い」と提携しており、どこかでドコモによる買収など想定してしまう。
ソフトバンクグループ傘下のZホールディングスがLINE(ライン)を買収しており、ドコモによるメルカリ買収も起こりえると、ひそかに想定している。
■メルコイン設立、何が起こるのか?
メルカリは暗号資産やNFT(代替不可能なトークン)などのブロックチェーン関連のビジネスに着手するため「メルコイン」を設立。いまだ暗号資産(仮想通貨)などのブロックチェーン技術が社会にどのような変化とインパクトを起こすか見えていない。ブロックチェーン技術は発展しているものの、世の中で必要とされ、どのようにマネタイズ(ニーズを起こしてお金をもらう)するか見えている人はそれほど多くないはずだ。
ブロックチェーンで先行しているのはゲーム会社のgumi。gumiもどのようにブロックチェーン技術をマネタイズするか決算説明資料では説明されていない。ゲームのなかのアイテムなどデジタル資産としての交換価値は予想できるが、幅広い範囲で活用されるか未だ未知の世界だ。
デジタル資産「NFT(代替不可能なトークン)」期待!?ゲーム会社gumiの行方は?(2021年3月27日投稿)
■従業員数が減少?気になる動向
メルカリの連結従業員数の推移をみると、1年前くらいから従業員数が減少している。売上高が前年比+40%以上増加しているなかで従業員数が減るのは違和感を感じてしまう。メルカリで何がおこっているのか?
■メルカリの株価の行方は?
メルカリの時価総額は約8,500億円。メルカリは前年比+40%超で成長しているものの、赤字事業を抱えており実態の姿は見えない。時価総額8,500億円であれば、将来的には営業利益200億円~300億円くらい出していないと説明ができない。現在は世界的な金融緩和と財政出動により、企業の実力とマッチしない株価がついているケースがある。この株価ではメルカリを積極的に投資する段階ではないのではないか?様子見が無難だ。
以 上