育毛剤「ニューモ」の定期購入が絶好調のファーマフーズ。2021年2月には東証二部から東証一部に指定替えとなった。2021年2月にはアイルランドの食品原料大手メーカーのケリー社(Kerry Group)と業務提携を発表。東証一部上場の三洋化成工業(売上高1,400億円)と双方が2億円の株式を購入する資本業務提携を発表した。絶好調のファーマフーズの業績と株価の行方はどうなるのか?
育毛剤「ニューモ」の売上高激増!ファーマフーズ、通販事業で高成長つづく!(2020年12月5日投稿)
■基本情報(2021年4月30日時点)
- 株価:3,230円(10年来高値:3,820円)
- 時価総額:939億円
- 予想PER:66.8倍
- PBR:21.73倍
- 予想配当利回り:0.46%
- 自己資本比率:26.5%
- 会計基準:日本基準
■ファーマフーズの業績は?
ファーマフーズの2021年7月期の第二四半期の売上高は204億円(前年同期比+216.1%増)、営業利益△0.8億円(前年同期は△15.9億円)と売上高は前年同期の3倍以上となった。ファーマフーズは下半期に広告宣伝費を調整して利益を計上する戦略のため、下期から営業黒字に転換するはずだ。
ファーマフーズの売上総利益率は+84.8%(前年同期は+79.4%)と高い。ファーマフーズにかぎらず、プレミアアンチエイジング、新日本製薬、北の達人コーポレーションなど化粧品・健康食品をメインとする通販企業の売上総利益率はきわめて高い。つまり、製品自体の原価は安い。これらの企業は広告宣伝費を大量に投入して、ブランドを構築するビジネスモデルを取っている。ヘルスケア器具などを販売しているMTGも同様で、テレビCMなどでブランドを構築して、高い価格で商品を販売している。
ファーマフーズの2021年7月期の第二四半期の売上高は204億円に対して、投入した広告宣伝費はなんと132億円。売上高に対する広告宣伝費の割合は64.7%となっている。資生堂やコーセーなどの化粧品会社なども広告宣伝費でブランド構築に必死になっており、化粧品・健康食品はいかにブランドを構築できるかが成功のカギとなっている。
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■業績を牽引するのは育毛剤「ニューモ」!
ファーマフーズの業績を牽引しているのは育毛剤の「ニューモ」だ。通信販売事業の売上高の約6割を占めている。「ニューモ」ブランドとしてのサプリなど入れると売上高の約7割を占める。ファーマフーズの株価が急騰している背景も「ニューモ」の大ヒットがある。
■ビジネスを支える定期購入者推移!
ファーマフーズが積極的に広告宣伝費を投入している背景には、定期購入というビジネスモデルをとっているからだ。育毛剤「ニューモ」は薬局やドラッグストアでは購入できず、ファーマフーズから通信販売で購入するしかない。そのため、ファーマフーズにとっては粗利が高く、定期購入により継続的に購入してくれる可能性が高いビジネス形態となっている。
育毛剤「ニューモ」の価格は1本あたり4,950円(税込)で送料無料。薄毛で悩んでいる人にとっては、50万円だしても薄毛が解消できるなら頼りたい存在。
■AGA(男性型脱毛症)のそもそも対応方法は?
男性にとってAGA(男性型脱毛症)と呼ばれる薄毛はきわめて悩ましい問題。いくらお金を出しても解決したいと思っている人も少なくないだろう。AGAには予防対策、発毛対策の2つがある。「ニューモ」はタマゴ由来の卵黄たんぱく加水分解物をつかったHGP(Hair growth peptide)という素材を使っている(HGPはファーマフーズが2017年に商標登録している名称)。
ただし、育毛や発毛の世界ではAGAの治療法は確立されている。AGAは進行性のため、脱毛予防としては飲み薬のフィナステリドを処方される。発毛治療としてはミノキシジル外用薬、ミノキシジルタブレット(飲み薬)のみ。特にミノキシジルタブレットは発毛効果が絶大と言われているものの、循環器(心臓、肺、血管)に副作用が出やすい。医師ができるのは、これらの濃度(強度)調整しかない。AGAはなかなか相談しにくい問題。コンプレックスとなり、通信販売されているもので改善できるなら頼りたい気持ちはわかる。「ニューモ」はそのようなニーズにうまくマッチしたと言えるかもしれない。
■ファーマフーズの株価の行方は?
ファーマフーズの時価総額は約950億円。2019年12月以前までは株価500円前後だったものの、業績急成長で注目を集めて急騰。現在のファーマフーズの成長は育毛剤「ニューモ」頼りのため、どこまで「ニューモ」を伸ばすことができるかにかかっている。個人的にはファーマフーズの研究開発費の少なさが気になる。2021年7月期の第二四半期で広告宣伝費に132億円投入しているものの、研究開発費はたった2億円にとどまる。継続的な成長を考えたときには、商品力が求められるのでマーケティング頼りでどこまで成長できるのか。
以 上