太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギー事業を展開しているレノバ。2021年5月10日に発表した2021年3月期の決算は売上高、当期純利益とも過去最高となった。2022年3月期は苅田バイオマス(75.0MW)、軽米尊坊ソーラー(40.8MW)、ベトナム・クアンチ風力(144.0MW)の３つが新たに稼働し、売上高の過去最高を更新する予定。レノバの業績と株価の行方はどうなるのか？
再生可能エネルギーのレノバ、重い金利負担！株価の行方は？(2021年2月13日投稿）
■基本情報(2021年5月14日時点）
- 株価：3,310円(10年来高値：4,835円）
- 時価総額：2,585億円
- 予想PER：50.4倍
- PBR：16.86倍
- 予想配当利回り：0%
- 自己資本比率：6.9%
- 会計基準：IFRS基準
■レノバの業績は？
レノバの2021年3月期の売上高は206億円(前年比+7.2%増）、営業利益46.1億円(前年比△21.7%減）の減収減益となった。レノバはIFRS基準に移行したため、売上総利益の表記がなくなった。レノバの営業利益率は+22.4%（前年は+30.7%）と悪化している。レノバはオプション公正価値評価益（+31.5億円）と徳島津田バイオマスの連結化にともなう差益(+75.3億円）の合計107億円を特別利益に計上したため、当期利益は過去最高の129億円となった。
レノバは2021年3月期に日本基準からIFRS基準に適用したため、無形資産197億円（2020年3月31日時点では49.4億円）を計上している。現在、使用権資産91億円、無形資産197億円を計上しており、将来的には減損テストを検討していく必要がありそうだ。そもそも、無形資産が約150億円増加したものの、具体的にどのようなものが増加したか明記されていない。決算説明資料によると「徳島津田バイオマスの連結化」とだけ記載されている。
■増加する有利子負債！？
レノバで注意が必要なのはB/Sの変化。決算説明資料をみると、徳島津田バイオマスの連結化とグリーンボンドの発行等により有利子負債が2020年3月末とくらべて+353億円も増加している。レノバの2021年3月末の自己資本比率は約7%まで下がっている。有利子負債の増加により、支払金利などの金融費用は24.4億円（前年は19.1億円）と前年比で約5億円の金利負担増となっている。
■2022年3月期の業績予想は？
レノバの2022年3月期の業績予想は売上高300億円、営業利益47億円、営業利益率+15.7%。2022年3月期は苅田バイオマス(75.0MW)、軽米尊坊ソーラー(40.8MW)、ベトナム・クアンチ風力(144.0MW)の３つが新たに稼働し、売上高の過去最高を更新する予定だ。
苅田バイオマスが2021年6月に稼働予定で、そのときに連結化を開始する見込みだ。苅田バイオマスを連結するときに段階取得差益というものが発生すると思われるが、金額は不明であるものの業績予想にすでに織り込まれている。IFRS基準に切り替わることで、売上原価と販管費が一体となり、売上総利益が見えなくなった。2022年3月期に前期比で+100億円も売上高は増えるものの、営業利益はほとんど変わらない要因は説明されていない。一応、人件費と開発費の先行投資拡大と記載があるものの、それ以上の説明はない。
■レノバの株価の行方は？
レノバの時価総額は約2,500億円。株価指標的には予想PER50倍まで落ちてきた。菅内閣発足による再生可能エネルギーへの注力やカーボンニュートラルなどの政策により再生可能エネルギー銘柄は2020年9月から急騰した。それまでレノバ株は電力銘柄として低成長な電力カテゴリーに属していた。たとえば、電源開発（Ｊパワー）は売上高9,000億円、営業利益780億円で時価総額は約3,000億円。関西電力は売上高3.1兆円、営業利益1,450億円で時価総額約1兆円と利益規模を考えると株価指標的には評価が低い。
JEPX高騰影響を受けた電源開発(Ｊパワー）、評価されない再生可能エネルギーの貢献！(2021年5月3日投稿）
いっぽう、レノバは再生可能エネルギー銘柄のなかでも株価の評価が高い。たとえば、エフオンは売上高145億円、営業利益30億円で時価総額はたった210億円。レノバはエフオンの10倍以上の評価となっている。
レノバの株価は再生可能エネルギー銘柄のバブル銘柄の代表。同じ分野の銘柄とくらべると、極めて株価の評価が高い。この半年間の急騰で投機的な株式取引の結果ではないだろうか。ここからさらに急騰して取引が活発になる可能性もあるので様子見が無難かもしれない。
以 上