スマートフォンゲーム（アプリゲーム）、ブラウザゲームなどのゲーム事業やメディア事業、投資事業など多角的に事業を展開しているグリー（GREE）。2012年は売上高1,582億円、営業利益827億円とすさまじい業績をたたき出し、時価総額は一時は6,000億円くらいまで上昇した。現在は売上高600億円、営業利益31億円まで下落している。グリーの業績と株価の行方はどうなるのか？
■基本情報(2021年6月11日時点）
- 株価：585円(10年来高値：2,697円）
- 時価総額：1,417億円
- 予想PER：11.2倍
- PBR：1.05倍
- 予想配当利回り：1.88%
- 自己資本比率：83.9%
- 会計基準：日本基準
■グリーの業績は？
グリーの2021年6月期の第三四半期の売上高は428億円(前年同期比△10.2%減）、営業利益38.8億円(前年同期比+20.1%増）の減収増益となった。グリーは投資事業組合やビジョナル（ビズリーチの親会社）の上場等による投資有価証券売却益などで営業外収益をあげていて、経常利益は91.6億円と前年同期比+110.2%増の大幅な上昇となった。
グリーの売上総利益率は+54.8%（前年同期は+54.4%）、営業利益率は+9.1%（前年同期は+6.8%）。売上総利益率自体は悪くないものの、販管費が大きく、営業利益率は１ケタ台となっている。販管費の内訳を見ると、支払手数料が売上高比で約20%を占めている。この支払手数料はAppleやGoogleなどへのアプリ手数料や海外展開時の協業パートナーへの手数料と思われる。グリーは売上規模の割にそれほど広告宣伝費を使用しておらず、年間で約15億円前後となっている。
■グリーのゲーム事業は？
グリーは売上高の内訳を公表しておらず、具体的に何の事業でどのくらいの売上高があるのか見えない。しかしながら、現在はおそらくスマートフォンゲーム（アプリゲーム）が売上高の主力と思われる。具体的な作品タイトルとしては、「アサルトリリィ Last Bullet」（日本のみ）、「ONE PUNCH MAN 一撃マジファイト」（日本・海外）、「アナザーエデン 時空を超える猫」（日本・海外）、「消滅都市」（日本・海外）など多数のタイトルを展開している。
かつてグリーの驚異的な業績を築いたブラウザゲーム（ブラウザを使って楽しむゲーム）も健在だ。有名どころでは「釣り★スタ」、「探検ドリランド」など。グリーの特徴としては、自社開発タイトルが多い。「転生したらスライムだった件」はバンダイナムコエンターテインメントと協業して展開を予定している。しかしながら、どのタイトルでどのくらい稼いでいるか、日本・海外の売上高の比率などは開示されていない。
■グリーの投資事業は？
グリーは投資事業もおこなっている。決算説明資料などで詳しい解説はないため全貌はよくわからないものの、グリーベンチャーズとしてベンチャー企業への投資をおこなっている。STRIVEというベンチャーキャピタルにも出資し、STRIVEはジニー、Retty、ウェルスナビ、Kaizen Platform等の上場企業にも投資実績がある。
グリーの2021年6月期の第三四半期のP/Lを見ると、投資事業組合運用益が49.6億円計上されており、グリーの営業利益をしのぐ規模まで成長している。ただし、投資事業は株価の継続的な上昇にはそれほど評価されず、株価上昇には本業の業績拡大が必須となる。
■グリーのその他の事業は？
グリーはプラットフォーム事業として「REALITY」といいうスマートフォン向けバーチャルライブ配信アプリを展開している。アバター（アニメなどのキャラクターなど）の姿になり、ライブ配信などコミュニケーションを楽しむことができるサービスだ。
メディア事業としては、おでかけ情報やグルメ情報の「aumo」やファッション動画マガジンの「MINE」、リフォーム・リノベーションなどインテリア関係の「LIMIA」などのインターネットメディア事業をおこなっている。
■グリーの株価の行方は？
グリーの時価総額は約1,400億円。いまの営業利益額や営業利益率から考えると、割安感はないものの、これまでの利益の蓄積や投資事業などを考えると妥当または割安な株価水準かもしれない。グリーにかぎらず、ゲーム銘柄の株価はさえない。営業利益400億円以上も稼ぐガンホーの時価総額は約2,000億円、営業利益100億円を稼ぐアカツキの時価総額は約500億円と評価が低い。いっぽうで、クラウドITサービスのfreee（フリー）、ラクス、Sansanなどの時価総額は利益額に対して高い評価となっている。
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グリーの課題は本業の立て直しだ。売上高の内訳を公表していないため詳細はわからないが、コスト削減により営業利益率の改善が必要だ。少なくとも、営業利益率２ケタはほしい。
以 上