ニュースサイトの「グノシー」や「ニュースパス」、「ゲームエイト」などのコンテンツサイトを運営しているグノシー(Gunosy)。7~8年くらいまでまではスマートニュース(時価総額は2,000億円超)と肩を並べる存在だったものの、大きく差を開けられたニュースサイト運営のグノシー。個人的には広告プッシュ重視の戦略がユーザーからアプリ使用の継続を拒否された要因だと思うが、ここにきて盛り返してきた。
スマホ向けニュースアプリ展開のGunosy(グノシー)、見えない業績回復の行方!(2021年4月10日投稿)
スマホ向けニュース配信アプリを展開するGunosy(グノシー)、停滞する成長の先は?(2020年5月31日投稿)
■基本情報(2021年9月17日時点)
- 株価:733円(10年来高値:3,650円)
- 時価総額:177億円
- 予想PER:69.5倍
- PBR:1.54倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:85.0%
- 会計基準:日本基準
■グノシーの業績は?
グノシーの2021年5月期の売上高は89.1億円(前年比△36.3%減)、営業利益7.2億円(前年比△16.6%減)の減収減益となった。グノシーの売上総利益率は+43.0%(前年は+43.0%)、営業利益率は+8.0%(前年は+6.1%)と営業利益率は改善した。
ただし、売上高は前年比で40%近く下落しており、グノシーのニュースアプリの「グノシー」「ニュースパス」「LUCRA」の視聴数や価値が下落していることを表している。
■グノシーの広告戦略は?
グノシーの広告はヘッダーなどへの固定欄にパネル(画像)や動画を掲載することが可能。1日あたり500万円ほどの広告料が発生する。最近では動画配信の広告も増えている。そのほかにもタブ移動時のディスプレイ広告が出る仕組みやインサーションと呼ばれるコンテンツ記事とコンテンツ記事のあいだに表示する広告記事などある。
ただ、グノシーユーザーからすると大量の広告表示がストレスになり、「グノシー」や「ニュースパス」から離脱する動機になることも忘れてはならない。
■グノシーの復活は?
グノシーの業績や株価推移を見ていると、クックパッドをイメージしてしまう。ITデジタル銘柄において、成長が鈍化してマイナスに陥ると、事業の復活はなかなか難しい。新しい同業他社が出てきて、市場シェアを奪ってしまうからだ。
料理レシピサイトを運営するクックパッド(2193)、停滞する株価と業績の行方は?(2020年5月30日投稿)
ITデジタル銘柄において、市場シェアをいったん奪われると、挽回するのは難しい。グノシーは前年比で40%弱の売上高が落ちこんでおり、従業員数も2020年8月末に243名だったものの、2021年5月末には215名まで減少。グノシー自体で従業員数を抑制していると同時に、事業規模が急激に縮小しており、社員のなかから他社に移る人もでてきていると思われる。
クックパッドと同じであるが、これまでの積み上げた財務基盤があり、自己資本比率は80%を超えて盤石。いっぽう、収益拡大が見込めず、業績も株価もずるずると落ちていく可能性が高い。表面的に見ると、財務体質がよく、株価が高値から5分の1くらいまで下落しており割安ではないか?と思って購入する人が増え、結果として損切りするケースがでてくる。その繰り返しを当面は繰り返すことになりそうだ。
■グノシーの株価推移は?
グノシーの時価総額は約180億円。株価チャートを見ると、なんとなく底入れしたように見えるものの、業績回復のストーリーが見えず、グロース銘柄の業績前年割れをしている銘柄を購入するのはきわめて危険だ。グノシーが新規ビジネスなどで状況が一変するまでは様子見が無難だ。
なお、クックパッドの時価総額は約250億円。有利子負債ゼロで現預金220億円もっている企業としては割安に放置されているように見えるものの、将来的な業績の拡大が見えてこない。
以 上