生協・ECやテレビショッピングで健康食品、化粧品、雑貨などを販売しているアイケイ。1982年設立の老舗企業。従業員数は241名。アイケイという会社名を知らなくても、「化粧品LB」「ローカロ生活」「インティマ」「プロシアエイト」などのECショップやテレビショッピングの「プライムダイレクト」などを知っている人は少なくないかもしれない。アイケイは業績の割に株価は安値で放置されている。その理由と今後の株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年9月17日時点)
- 株価:630円(10年来高値:3,440円)
- 時価総額:52億円
- 予想PER:8.9倍
- PBR:1.39倍
- 予想配当利回り:1.9%
- 自己資本比率:49%
- 会計基準:日本基準
■アイケイの業績は?
アイケイの2021年5月期の売上高は207億円(前年比+12.3%増)、営業利益7.1億円(前年比+19.4%増)の増収増益。アイケイの売上総利益率は+51.1%(前年は+47.5%)、営業利益率は+3.4%(前年は+3.2%)とここ数年、売上総利益率と営業利益率ともに改善傾向がつづいている。
アイケイはマーケティング会社であり、広告宣伝費を中心とした販管費の割合が高い。売上高比で約20%の広告宣伝費を投入している。また、販管費を見ると物流費が売上対比で8%ほどと大きい。テレビショッピングではエアベッドの「エアーヨーン」や便利な脚立「ステップエイト」など送料無料の商品の大型化が梱包発送費の負担を重くしている。
■アイケイのビジネスモデルは?
アイケイは大きく3つの販路を持つマーケティング会社。1つはテレビショッピングで全体の約3割の売上高となっている。2つ目は生協で売上高は全体の約4割。3つ目は店舗とECだ。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要により、アイケイをはじめとした通販企業の業績は軒並み好調だ。
アイケイの売上高は堅調に右肩あがりであるものの、営業利益率がそれほど伸びないのが悩み。ここ最近は温熱ベスト(スピードヒート)などの自社開発製品がヒットしているものの、営業利益率が5%をなかなか超えることができていない。
アイケイの売上総利益率は平均51.1%と高いものの、ビジネスモデルとして広告宣伝費と梱包発送費の負担が重く、それほど利益率の高いビジネスモデルではないというのが難点だ。年間の広告宣伝費は約43億円、物流費が17億円と売上高200億円に占める比率が高い。 商品が大型化しており、最近は海外からのコンテナ運賃が高騰しており、その影響で物流費が高騰していると思われる。
■アイケイの商品は?
アイケイは雑貨、化粧品、便利用品(脚立、エアーベッド、温熱ベスト、布団など)からエクササイズとして使用できるトランポリン(シェイポリン)など多種多様な商品を販売している。
2021年5月期のテレビショッピングの売上高は85億円。そのうち主力製品の「スピードヒート(温熱ベスト)」「ステップエイト(脚立9」「エアヨーン(エアーベッド)」の3商品だけで売上高は約60億円を計上している。心配なのはヒット商品が売れなくなった時に売上高が大きく落ち込んでしまうことだ。
■アイケイの株価推移は?
アイケイの時価総額は約50億円。年間営業利益7億円を計上しており、予想PERは10倍を割っている状態だ。株価チャートを見ると、2017年から株価上昇をつづけ、2018年から下落している。当時よりも現在のほうが営業利益率は改善しているものの、チャートの山を一旦つけるとなかなか上がりづらい。
アイケイの同業他社であるスクロール年間売上高850億円、営業利益74億円を計上しているものの、時価総額は320億円にとどまる。多種多様な商品を扱うカタログ通販会社は利益率が低いイメージがあり株価が上がりにくい。
複合通販企業グループのスクロール、生協向けカタログ通販からeコマース!コロナ禍で業績好調(2021年5月8日投稿)
最近ではプレミアアンチエイジング、新日本製薬、ファーマフーズ、アクシージアなどの商品を絞ったマーケティング会社の株価は好調だ。アイケイやスクロールとこれらのマーケティング会社のビジネスモデルは似ているものの、商品を原価率の低い化粧品、健康食品などにしぼっているのが大きな違いだ。
業績絶好調のプレミアアンチエイジング、中国本土に「sitrana(シトラナ)」展開!(2021年6月19日投稿)
中国向けECで化粧品などを展開のアクシージア、「AXXZIA」ブランド好調!(2021年9月19日投稿)
以 上