コロナ特需が消失!?ブイキューブの収益成長がストップか?

 新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークやデジタルトランスフォーメーション(DX)の特需で業績を大きく伸ばしてきたブイキューブ。2021年12月期の四半期決算の推移をみると、売上高は堅調に増加しているものの営業利益の伸びがストップ。第二四半期から第三四半期にかけて、営業利益の増加がほとんどなく株式市場では悲観的なショックを受けた。株価は年初来安値を更新中という状況だ。

Web会議から製薬ウェブ講演会まで映像サービスのブイキューブ、テレワークの波に乗る!(2020年12月20日投稿)

■基本情報(2021年12月3日時点)

  • 株価:1,097円(10年来高値:3,785円)
  • 時価総額:270億円
  • 予想PER:13.2倍
  • PBR:6.14倍
  • 予想配当利回り:0.72%
  • 自己資本比率:32.1%
  • 会計基準:日本基準

■ブイキューブの業績は?

 ブイキューブの2021年12月期の第三四半期の売上高は85.1億円(前年同期比+60.1%増)、営業利益11.1億円(前年同期比+99.8%増)の増収増益。ブイキューブの売上総利益率は+46.4%(前年同期は+35.9%)、営業利益率は+13.1%(前年同期は+10.4%)。

 ブイキューブは企業のリモートコミュニケーションをサポートするDX事業やリモートイベントサポートやテレキューブ(リモートワーク用の作業スペースボックス)を提供している。

 前年同期比で比べると、ブイキューブの事業は急成長しているように見えるものの、第二四半期から第三四半期の業績をくらべると、ほとんど利益がでない状況になった。その影響を受けて、株価は大きな下落が続いており、年初来安値を更新している状況だ。何が起こっているのか?

■ブイキューブの営業利益悪化の要因は?

 ブイキューブの第二四半期の業績は売上高60.3億円、営業利益10.2億円。第三四半期は売上高85.1億円、営業利益11.1億円と前四半期から約9千万円しか営業利益が増えていない。つまり、事業の利益が全然でない状況になってしまい、投資家が悲観している状況だ。何が起こっているのか?

 ブイキューブの決算説明資料をみると、エンタープライズDX事業とイベントDX事業は売上高が増えているものの、ほとんど利益がでていない。この2つの事業の売上高は堅調に伸びているものの営業利益が出ていないということは原価率が高まったか、販管費が大きく増加したことが理由のはず。決算説明資料をみても、その理由は全く説明されていない。

 決算説明資料で四半期ベースでの業績悪化について説明がされていないことも株価下落の理由の一つではないか。一時的な理由であれば、その説明をしてほしいし、構造的な変化であっても説明してほしいもの。

■積極的な投資の行方は?

 ブイキューブは利益率が良いものの、自己資本比率は30%台とそれほど良くはない。前年度末(2020年12月末)と比べて、短期借入金は約10億円増加、長期借入金も約10億増加しており、有利子負債は+20億円増加したイメージだ。その資金の用途を見ると、有形固定資産が+12億円、ソフトウェアが+5億円、のれんが+15億円と大きく投資している。

■ブイキューブの株価の行方は?

 ブイキューブの時価総額は約270億円。成長性や収益性を考えると割安だ。ただし、直近で収益性が大きく変化している可能性があり、今後の四半期決算に注意が必要だ。先行投資が芽を出して、更なる成長と収益性改善につながるのであれば、もう一度株価が上昇する可能性はありえる。

 いまは年初来安値を更新している状況であり、少なくとも株価トレンドがヨコヨコになるまでは様子見が無難だろう。

(画像1)ブイキューブの株価推移

以 上

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