年間売上高500億円規模のアパレルOEMメーカーのマツオカコーポレーション(以下、マツオカ)。ファーストリテイリングの「ユニクロ」のOEMを行っていることでも有名な会社。ファーストリテイリングは利益をしっかり出しているものの、マツオカは利益がほとんど出ず苦戦中。今後のマツオカの業績と株価はどうなるのか?
■基本情報(2022年8月12日時点)
- 株価:947円(10年来高値:5,290円)
- 時価総額:95億円
- 予想PER:30.9倍
- PBR:0.33倍
- 予想配当利回り:4.22%
- 自己資本比率:49.8%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,268人
■マツオカの業績は?
マツオカの2023年3月期の第一四半期の売上高は130億円(前年同期比+16.9%増)、営業損益△4.6億円(前年同期は+59百万円)の増収赤字転落となった。マツオカの売上総利益率は+6.3%(前年同期は+10.6%)と極めて低い。販売管理費が12.7億円(前年同期は11.2億円)と約1.5億円の増加となり、さらに前年同期比悪化の要因となっている。
マツオカは決算説明資料を今回は開示していないため、決算短信の文面から(業績悪化の)要因を読み解く必要がある。そこには「急速に進行した円安による工場コストの増加により、営業損失は4億円57百万円・・・」と記載されており、円安が業績悪化の大きな要因と読み取れる。
昨年の決算説明資料では、「円安進行により、貿易取引決済による為替差益・・・・」と記載があり、今回の決算短信とは異なる記載がされている。一般的に、海外工場で製造して海外で販売しているケースでは円貨換算した海外グループ会社の業績がかさ上げされて業績は改善されるもの。
ベトナムや中国から日本に輸出している場合は、外貨建てで契約しているならば、円換算ベースでの売上高が膨れることが一般的であるものの、マツオカの記載のコメントとは異なる。
■そもそもマツオカのビジネス内容は?
マツオカは「ユニクロ」などのアパレル企業のOEM生産を担っており、ファーストリテイリングが堅調に業績をのばしているため、売上は安定していると思われる。
中国からASEANに生産シフトしているものの、中国の規模(全体の50%)がもっとも大きく、次にバングラデシュ(全体の28%)、ベトナム(16%)、ミャンマー(4%)と続いている。品目別ではカジュアルウェアが最も多く、インナーウェアなどつづく。
2026年3月期には中国での生産比率を29%として、ASEAN諸国での生産比率を71%(現在は約50%)まで高める計画をしている。主に、バングラデシュとベトナムの生産規模を拡大させる計画だ。
■マツオカの中期計画目標は?
2026年3月期に売上高700億円、経常利益35億円、経常利益率5.0%を目指している。ただし、2023年3月期は売上高560億円、営業利益7.0億円、経常利益12億円を目指している。
マツオカの財務諸表をみると、現預金は158億円、棚卸資産116億円とあり、有利子負債は約120億円ほどと資金的な余裕は大きい。ただ、売上総利益率があまりにも低く、売上高が上昇しても薄利多売のビジネスモデルがつづいていく懸念が大きい。
■マツオカの株価推移は?
マツオカの時価総額は約100億円で予定配当利回りは4%ちょっとと高い。ただ、いまの業績予想であると1株あたりの当期純利益は30.6円を見通ししており、年間配当40円を下回っている。つまり、利益以上の配当をしている状態であり、どこかで減配となる可能性はありえる。
今年5月の決算説明では中期経営計画の達成次第では、2025年3月期~2026年3月期は増配を検討としているものの、あくまで達成したときの話。いまは減配の可能性のほうが高いだろう。
マツオカについては、一時、有名個人投資家の弐億貯男さんが投資していたことで注目を集めたものの、いまは保有していないと思われる。マツオカの株価チャートをみると、そろそろ上昇してもおかしくない、と思ってしまうものの、多くの人が損切りしてきたことを想像してしまう。
以 上