金融機関向けのデジタル支援で顧客の業務を支えるダブルスタンダード。OCRで読み取った情報をデータクレンジングしてデータ登録など業務効率化を支援している。スマホ1つで簡単に本人確認ができるeKYCで証券会社、銀行、カード会社、FX会社などをサポート。事業領域を拡大しているダブルスタンダードの株価と業績の行方は?
金融機関の本人確認手続き(eKYC)などの普及、ダブルスタンダードに追い風!(2021年8月26日投稿)
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■基本情報(2022年10月7日時点)
- 株価:2,510円(10年来高値:4,950円)
- 時価総額:341億円
- 予想PER:24.6倍
- PBR:10.07倍
- 予想配当利回り:2.0%
- 自己資本比率:83.8%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,108人(2022年3月31日時点)
■ダブルスタンダードの業績は?
ダブルスタンダードの2023年3月期の第一四半期の売上高は17.8億円(前年同期比△23.2%減)、営業利益6.3億円(前年同期比+34.5%増)の減収増益。低収益案件を絞り込んでいる影響で売上高は減少しているものの、利益構造が改善している。ダブルスタンダードの売上総利益率は+46.6%(前年は+28.1%)、営業利益率は+35.3%(前年は+20.2%)とそれぞれ大幅に改善している。なお、営業利益、経常利益ともに四半期過去最高を更新している。
■ダブルスタンダードの事業内容は?
ダブルスタンダードは金融機関向けにデジタル面で業務サポートしている。たとえば、OCRで読み込んだ情報をデータクレンジング(データを整える仕組みを構築)して顧客が活用することをサポート。OCRで手書き文字をデータ化(デジタル化)できるようになっても、そのまま問題なく使用できるケースは少ない。そこで、ダブルスタンダードの技術によりデータクレンジングが必要になる。
マーケティング支援としてはWebやチラシの自動取得。顧客データの整理、Web口座開設支援システムの構築(eKYCの導入など)。デジタル面で金融機関をサポートしている。現在の取引企業数は82社(前年は68社)と順調に増加している。
ダブルスタンダードはいろいろな仕組みを構築しており、賃料査定AIの導入、宿泊施設(ホテルなど)の稼働率と宿泊料金の変動、旅行サイトの最安値商品の発見(比較サイト向け)など。
クレンジングサービスでは、氏名・住所の英語変換エンジンの導入、配送ルート最適化、買取訪問ルート最適化、営業リスト自動作成、Web上での謄本情報のデータなど。
■今後の注力サービスは?
ダブルスタンダードでは、今後は次のサービスに注力していく方針だ。ネット上でのオンラインヘルプデスク導入、テレオペの音声テキスト化の支援、チェック対象のWebサイトの更新情報を自動検知・通知、ユーザの位置情報の活用、電子契約システムの導入、スマートロック管理システムの導入、賃貸契約更新システムなど。
ダブルスタンダードは最新のデジタル技術を活用して、IT企業のサービス基盤を支えていることがわかる。IT企業が発展していく技術をダブルスタンダードがサポートしていることがわかるだろう。よって、ダブルスタンダードの技術が陳腐化することはなく、常に最新の技術を模索する企業であり続けそうだ。
■ダブルスタンダードの財務状況は?
ダブルスタンダードの自己資本比率は83.8%ときわめて健全だ。2022年6月30日時点で現預金は31.5億円、有形・無形固定資産ともに残高は小さい。有利子負債はゼロのため、これまで稼いだ利益剰余金は順調に増加している。
■ダブルスタンダードの株価推移は?
ダブルスタンダードの時価総額は約340億円。グロース銘柄の株価がバブルのように大きく上昇していたことを考えると、ダブルスタンダードの株価の伸びは限定的だ。ただ、すでに高値から半値のところまで落ちている(ほかのグロース銘柄は3分の1、4分の1と下落)。
ダブルスタンダードの事業内容をみると、競合他社と争っているというよりも、顧客といかに一緒に技術を生み出していくか、顧客の課題を解決できるか、に焦点が移っている。言い換えると、人材を育てていくことができれば事業は成長していくだろう。ダブルスタンダードの従業員数は2022年3月末時点で57名と少ない。2021年3月は52名、2020年3月は51名、2019年3月42名と簡単に従業員が育つ事業内容でもない。いかに人材を育成するかが、ダブルスタンダードの成長のネックであり課題だ。
以 上