新型コロナウイルス拡大によりリモート会議やリモートセミナーが一般化され、動画配信ソリューションのJストリームの需要が急拡大。売上、利益の伸びを期待して株価は大きく上昇。いっぽう、成長鈍化がみられると、高値から5分の1くらいまで株価は下落し、現在は年初来安値を更新中だ。ただ、利益率はいまだに高く、株価の割安感は高まっている。
医薬医療向けに強い動画配信サービスのJストリーム、セミナーからライブ配信まで!(2020年12月20日投稿)
■基本情報(2022年11月4日時点)
- 株価:560円(10年来高値:3,420円)
- 時価総額:157億円
- 予想PER:10.5倍
- PBR:1.37倍
- 予想配当利回り:2.85%
- 自己資本比率:80.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:11,235人(2022年3月31日時点)
■Jストリームの業績は?
Jストリームの2023年3月期の第二四半期の売上高は59.0億円(前年同期比△6.1%減)、営業利益7.7億円(前年同期は10.7億円)と減収減益となった。Jストリームの売上総利益率は+41.9%(前年同期は+43.0%)、営業利益率は+13.1%(前年同期は+17.0%)と悪化傾向であるものの、収益性は高い。
Jストリームの売上総利益は24.7億円(前年は27.0億円)であるものの、販管費が17.0億円(前年は16.3億円)と推移しており、売上総利益が減少しているものの、販管費が増加したことが減益の要因だ。販管費17.0億円の内訳をみると、人件費が8.6億円(50.8%)、販売支援費1.6億円(9.5%)などがつづく。
Jストリームは売上原価や販管費などを積極的に開示しており、株主に対する開示はきわめて積極的だ。ここまで数値を開示している企業は少なく、投資判断がしやすい。
■Jストリームの顧客は?
Jストリームの2023年3月期の第二四半期の売上高は59.0億円。中身をみると、約半分は医薬関係で、ここが前年比で減少していることが成長鈍化の要因だ。Web講演会など需要が拡大したものの、一方的に拡大していくものではなく、ここからの成長は限定的かもしれない。いっぽうで、医薬以外の顧客は前年同期比+11.4%増と伸びている。
Jストリームの四半期別の売上高推移をみると、コロナ禍に需要が急増し、そこからほぼ横ばいがつづいている。グロース銘柄は成長性と金融緩和による追い風を受けて、株価は暴騰したものの、Jストリームは現在は実力値に戻った株価になったと考えたほうがよいかもしれない。
■Jストリームの強みは?
Jストリームは医薬関係の動画配信ソリューションで伸びている。コロナ禍では動画配信というものがサービスであったものの、アフターコロナでは動画配信とデジタル活用による販促へのサービスが成功のキーになる。動画配信を活用して、どこまで顧客の売上高やKPIが改善したかをサポートできるのか、できないのかがキーになる。
Web講演会を実施して、データ分析・解析をして、顧客情報を整理し、医薬品の販売や情報提供にいかにつなげていくかがポイントだ。そのサポートができなければ、Ciscoシステム(ウェビナー)やマイクロソフトTeams、Zoomなどの動画配信サービスを顧客が活用するだけで終わってしまい、Jストリームの価値がでない。
■Jストリームの財務状況は?
Jストリームの2022年9月30日時点の財務諸表をみると、現預金は43億円、預け金28億円と約70億円を超える現預金を保有している。いっぽう、有利子負債はゼロのため、財務状況はきわめて健全だ。
心配なのは稼ぐ力であるP/Lが悪化していること。売上規模が下がっているのは致命的で、従業員数は現時点664人(前年同期は637人と+27名)と増加傾向が続いている。なお、コロナ前の2020年3月末は450人だったので、コロナ禍の2年半で+210人ほど従業員が増えている。
■Jストリームの株価推移は?
Jストリームの時価総額は約160億円。チャートをみると、大きな山を形成しており、ここから再上昇するのはかなり力がいる。大きなサプライズがないと、たとえ業績が改善しても、当面は横ばいがつづきそうだ。コロナ禍前の2020年3月末時点の株主数は5,200名だったものの、現在は1.1万人を超えている。株主は大きく増えたものの、含み損を抱えている人も少なくないだろう。
以 上