ニュースサイトの「グノシー」や「ニュースパス」、「ゲームエイト」などのコンテンツサイトを運営しているグノシー(Gunosy)。赤字に突入している。7~8年前くらいは時価総額2,000億円を超えると言われるスマートニュースと肩を並べる勢いのあったグノシー。ITサービスは右肩さがりになると落ちるのが早く、株価はだだ下がりだ。今後の業績と株価の行方は?
グノシー業績悪化は下げ止まり!?株価は高値の5分の1水準に、株価回復の行方は?(2021年9月19日投稿)
スマホ向けニュースアプリ展開のGunosy(グノシー)、見えない業績回復の行方!(2021年4月10日投稿)
■基本情報(2023年1月27日時点)
- 株価:638円(10年来高値:3,650円)
- 時価総額:155億円
- 予想PER:ー(未定)
- PBR:1.25倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:86.8%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:9,190人(2022年5月31日時点)
■グノシーの業績は?
グノシーの2023年5月期の第二四半期の売上高は39.3億円(前年同期比△10.4%減)、営業損益△1.6億円(前年同期は+1.6億円の黒字)と減収赤字転落となった。グノシーの売上総利益率は+38.7%(前年は+43.9%)と大きく悪化。
グノシーの売上総利益は15.2億円(前年は19.3億円)と悪化しており、販管費は16.8億円(前年は17.6億円)。売上総利益から販管費を差し引くと、営業損益は赤字転落となった。
■グノシーの事業状況は?
グノシーの決算説明資料をみると、もっとも重要なはずのユーザー数の推移の値が公表されていない。ユーザー数は安定と公表されているものの、実態の規模感や推移がわからず、正直、このようなメディアに広告を出稿する広告主がいることが信じられない。
グノシーは積極的に自社メディアの宣伝に力をいれており、広告宣伝費を投入している。年間で12億円以上の広告宣伝費を投入している。言い換えると、広告宣伝費を投入しないと利用者の離脱が多く、広告を集めることができないからだ。
グノシーはアプリを入れると、プッシュなどのニュースの押し付けが多く、また広告宣伝の領域が多く、スマートニュースやヤフーニュースにくらべると面倒くさい。このような理由でアプリを削除した人も多いのではないだろうか。
■グノシーの気になる今後の行方は?
グノシーは「中長期で時価総額1,000億円を目指す」としているものの、その実現可能性が全く見えない。ただ、過去に稼いだキャッシュがあるため、投資事業に多くを振り向けている。現在はインドに75%の投資をしており、日本国内で残り25%を投資している。投資している分野は、フィンテック、教育、MaaS、コマース、不動産テック、音声配信など多岐にわたるが、テクノロジーの発展に寄与するものに投資していると思われる。
■グノシーの財務状況は?
グノシーの2022年11月30日時点の財務諸表をみると、現預金は60億円、投資有価証券は60億円、固定資産はほぼない。いっぽう、有利子負債もほぼなく、財務的にはきわめて健全だ。
■グノシーの株価推移は?
グノシーの時価総額は約150億円。現預金60億円もっているので、事業価値としては約90億円くらいの評価。いまのままではグノシーの事業が伸びていく見通しが投資家には見えない。株価をみると、2017年には時価総額が1,000億円ちかくまで上昇しており、ほとんどの株主は含み損を抱えているのではないだろうか。いかに新規事業で再興できるかにかかっていると言えるだろう。
以 上