ファッションレンタルプラットフォームという貸アパレル事業「airCloset」を展開しているエアークローゼット。四半期毎の会員数がほぼ若干減少に転じており、会員数3万人で足踏み状態。エアークローゼットの売上総利益率も悪化しており、「airCloset」の利益モデルを成功にもっていくことはできるのだろうか?今後の株価と業績の行方は?
月額制洋服レンタルサービスのエアークローゼット(airCloset)、熾烈な競争の行方は?(2022年11月26日投稿)
■基本情報(2023年2月17日時点)
- 株価:506円(10年来高値:1,250円)
- 時価総額:42億円
- 予想PER:当期純利益は赤字予想
- PBR:5.65倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:27.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:上場後、未公表
■エアークローゼットの業績は?
エアークローゼットの2023年6月期の第二四半期の売上高は18億円、営業損失は△74百万円。前年の2Q累計の業績を公表していないため、前年同期比での増減を表現できない。いっぽう、2Q単独では比較しており、2023年6月の第二四半期単独では売上高9.5億円(前年同期比+14.5%増)、売上総利益4.5億円(前年同期比+14.2%増)、営業損失△45百万円(前年同期は△37百万円の赤字)となっている。
エアークローゼットの売上総利益率は+30.2%(2020年6月期)、+50.4%(2021年6月期)、+49.3%(2022年6月期)、+48.7%(2023年6月期2Q累計)と悪化傾向がつづいている。
■エアークローゼットの事業状況は?
エアークローゼットはアパレルレンタルという事業モデルのため、あたらしいアパレルを仕入れる必要がある。会員が増えることで必要な服が増え、また、傷んだ服は除却(廃棄)する必要がある。陳腐化した服は減損するという経理処理も必要だ。
2023年6月期の2Qは、「仕入の季節変動、順調なレンタル利用実績に基づくレンタル用資産の耐用年数の⻑期化、キャッシュフローの改善等に伴い、当2Qでは減損損失の発生はなし。」と減損を計上していない。しかしながら、レンタル用資産は2022年9月末の3.3億円→3.9億円(2022年12月末)と+0.6億円の増加となっており、将来的な減価償却費や減損のリスクが残る。
■マクロ的にエアークローゼットを見る!
エアークローゼットの2023年6月期の業績予想は、売上高42.3億円(前年比+26.2%増)、営業利益1.1億円、期末会員数3.9万人を目指す。2Q終了時点で、売上高18億円、営業利益△74百万円、期末会員数3.1万人のため、ここから業績予想を達成することは難しいだろう。
エアークローゼットは解約率を公表していないものの、おそらく低い解約率ではないだろう。その解約会員にかわる新規会員を獲得する必要があり、広告費を年間で6~8億円を投入するひつようがある。売上高の約20%を広告宣伝費に投入しないと、現在の会員数の規模感を維持することができない。
なお、2023年4月以降にヤマトや佐川急便の輸送費の値上げが報道されており、エアークローゼットには大きなダメージになるだろう。普通に考えると、エアークローゼットの値上げが必要になるものの、会員数の減を考えると、値上げに踏み切れないだろう。
■エアークローゼットの財務状況は?
エアークローゼットの2022年12月末の財務諸表をみると、現預金は14億円、長期預金2億円となっている。いっぽう、有利子負債は約15億円となっている。上場したことにより、約6億円を調達しており、そのまま現預金になっている計算だ。
本来であれば有利子負債の一部を返済すべきであるものの、長期買入で12億円ほど借りているため、当面は返済せずに手元現預金を厚くしておきたいと思われる。ただ、年間で支払利息が約20百万円発生しており、業績を圧迫しているのは事実だ。なお、エアークローゼットは利益剰余金22億円のマイナスを計上しており、配当を出すまでには相当、時間がかかることがわかる。
■エアークローゼットの株価推移は?
エアークローゼットの時価総額は約40億円。すでに高値から半値以下まで下落している。事業モデルが利益を稼ぐように見えないため、個人投資家のお金も集まってこない。「airCloset」という名称やシェアリングエコノミーの1つと注目は集まったものの、メチャカリ」(メルカリ)、「EDIST.CLOSET」、「Rcawaii」、「Brista(ブリスタ)」などの競合他社も多く、利益を上げるのは難しいかもしれない。
以 上