完全栄養食というパンを中心に自社ECや他社EC(楽天、Amazon、Yahoo!など)とコンビニを中心としたリテールを活用しているベースフード。フードテックとして、いままでにない新しいイノベーションを起こしているものの、現時点は赤字がつづく。テクノロジーではなく、食のレシピは特許で囲い込みができず、この成長がいつまで続くのだろうか?ベースフードの業績と株価の行方は?
完全栄養食の「BASE BREAD」のベースフード、新領域で市場を開拓!(2023年1月22日投稿)
■基本情報(2023年4月21日時点)
- 株価:457円(10年来高値:824円)
- 時価総額:232億円
- 予想PER:赤字予想
- PBR:13.81倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:45.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:現時点未公表
■ベースフードの業績は?
ベースフードの2023年2月期の売上高は98.6億円(前年比+77.8%増)、営業損益△9.7億円(前年は△4.5億円の赤字)と増収赤字幅拡大となった。ベースフードの売上総利益率は+53.4%(前年は+59.0%)と5.6ポイントの悪化。なお、2023年2月期の業績予想は売上高102億円だったため、売上高は業績未達となっている。
ベースフードの売上総利益は前年の32.7億円→52.7億円と+20億円の増加となったものの、販管費は37.3億円→63.4億円と+26.1億円の大幅な増加により赤字が拡大した。現在は売上高が大きく伸長しているため、販管費増は将来の投資と言えるかもしれないが、世の中にベースフードの完全栄養食が普及するかどうか、大きな勝負ではある。
■ベースフードの業績内容は?
ベースフードは自社ECでサブスクリプションモデルとして定期購入してもらう売上高が一番大きい。2023年2月期の売上高98.6億円のうち、自社ECが63.0億円と大部分を占める。続いて、コンビニを中心としたリテール販売が22.5億円となっている。
注目するのは四半期ベースでの売上高推移だ。1Qの売上高は21.6億円→24.2億円(2Q)は+2.6億円、24.2億円(2Q)→26.1億円(3Q)は+1.9億円、26.1億円(3Q)→26.6億円(4Q)は+0.5億円と成長性が低下している。
また、売上総利益率は2022年2月期の1Qは+64.1%だったものの、2022年2月期の4Qには+51.8%、2023年2月期の2Qは+55.5%、2023年2月期の4Qは+49.4%と収益性も低下している。
■ベースフードのチャネル別販売は?
ベースフードは自社EC、他社EC、リテールの3つのチャネルを活用している。自社ECは定期注文がメインとなっているものの、解約率は月間で6.7%となっており、定期注文者数16.3万人のうち、毎月1.1万人くらいの解約が発生している。それをカバーする新規注文者を獲得する必要があり、多額の広告費を投入しているのが現状だ。
他社ECは四半期推移でみると、すでにピークから販売額が下落している。リテールチャネルは、2023年2月末時点で3.5万店舗まで展開しており、世の中の対象店舗約10万店舗のうち、約35%までカバーできた計算になる。言い換えると、販売チャネル数の増加はほぼ頭打ちでリテール販売をいかに増やすかがポイントになる。なお、コンビニはすでに配荷率60.0%と全体の約6割の店舗で販売されている。
■チャレンジングな2024年2月期の見通し
ベースフードの2024年2月期の業績予想は、売上高161億円(前年比+63.1%増)、営業損益△8.0億円を計画している。売上高を引き続き大きく伸ばす計画であるものの、かなりチャレンジングな計画となっている。
自社ECの売上高は前期63億円→100億円、他社ECは前期12.8億円→15億円、リテールは前期22.5億円→45億円と合計で前期98.6億円→160億円の内訳だ。
今期は少しずつ悪化している利益率改善のため、2023年5月に商品値上げを計画している。すでにベースフードの商品は、他社の通常の製品に比べて2倍近い価格で販売されており、顧客がこの値上げについてこれるか勝負となる。
■ベースフードの株価の行方は?
ベースフードの時価総額は約230億円。株価下落も下げ止まった感じはするものの、将来の成長性だけで株が買われていると思われる。あたらしいビジネスモデルであり、成長しているから業績と株価がマッチしていなくても大丈夫という雰囲気を感じる。
気になるのは、他社の動向だ。ベースフードが開発・販売する栄養食は大手の食品会社では簡単に開発できるような気がするが、現時点で目立った動きはない。ミツカンのZEMB(ゼンブ)という動物性原料を活用したヌードルは類似しているものの、まだまだ類似商品は少ない。ベースフードが何が何か参入障壁があればよいものの、市場認知とチャネルの確保が現在の最も大きな戦略に見えてしまう。成長性が大きく悪化すると、株価半減もありえるので慎重に業績のウォッチが必要だ。
以 上