フリーランスのITエンジニアのマッチングサイト「Midworks」を展開しているTWOSTONE&Sons(以下、TWOSTONE)。2023年6月1日からホールディングス体制に移行し、従来のブランディングエンジニア(Branding Engineer)から社名を変更。ITエンジニアをサポートするという事業領域に変更はない。現状のTWOSTONEの業績と株価はどうなっているのか?
フリーランス案件サイト「Midworks」運営のBranding Engineer(ブランディングエンジニア)、業績の行方は?(2022年10月10日投稿)
■基本情報(2023年8月10日時点)
- 株価:1,508円(10年来高値:1,611円)
- 時価総額:316億円
- 予想PER:188.2倍
- PBR:34.43倍
- 予想配当利回り:0.06%
- 自己資本比率:27.5%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,263人(2022年8月31日時点)
■TWOSTONEの業績は?
TWOSTONEの2023年8月期の第三四半期の売上高は71.3億円(前年比+49.0%増)、営業利益2.9億円(前年比+66.3%増)の増収増益。TWOSTONEの売上総利益率は+27.1%(前年は+31.4%)、営業利益率は+4.0%(前年は+3.6%)と低い。
TWOSTONEの売上総利益は前年の15.0億円→19.3億円と+4.3億円の増加、販管費は前年の13.3億円→16.4億円と+3.1億円の増加となり、差し引きで営業利益には+1.2お億円の改善となった。営業利益は前年の1.7億円→2.9億円と改善。しかしながら、売上総利益率がそれほど高くなく、売上高が伸びてもそれほど営業利益が改善しない結果となった。
■決算説明資料と業績の感覚的な乖離!
決算説明資料をみると、事業がきわめて好調に進んでいるトーンで記載されているものの、利益率が改善しておらず、投資家としては期待の持てない内容ではないだろうか。かなり企業買収をして売上高を伸ばしているものの、販管費も大きく伸びており、利益がでないことがわかるからだ。
ラクスやfreee、マネーフォワードのようにITサービス企業と比べると、TWOSTONEは顧客の増加で一時的に赤字になっても、将来的に爆発的に利益がでるようなビジネスモデルではないことがわかる。ラクスなどのITサービス企業と、そもそも粗利率が大きく異なり、まねをした戦略では行き詰ってしまうだろう。
TWOSTONEの販管費16.4億円の内訳をみると、全体の多くは人件費、支払手数料、採用関連費など将来的にも削減不能な項目が多くを占めている。将来的に削減可能な広告宣伝費も3.0億円(前年同期は3.1億円)と増えていない。つまり、将来的にも削減不能な固定費が増えている。たとえ、トップラインである売上高が伸びても、営業利益率2ケタを超えるようなビジネスにすることは難しいのではないだろうか。
■事業の成長をみる!
TWOSTONEの売上高内訳をみると、主力のITエンジニアのマッチングサービスである「Midworks」は安定的に成長している。年間の売上高は80億円が見えている。しかしながら、「Midworks」の事業利益率は+10%前後であり、それほど高収益な事業ではない。
現在稼働しているエンジニア数は3,072名(前年同期は2,245名)と+36.8%増となった。登録しているエンジニア数は36,451名(前年同期は27,059名)で前年同期比で+34.7%増。だいたい、登録者数の10%くらいが稼働しているイメージだ。
■TWOSTONEの財務状況は?
TWOSTONEの2023年5月31日時点の財務状況をみると、現預金は10.5億円、のれん5.7億円となっている。負債は、有利子負債が約12億円ある。現状の自己資本比率は27.5%とそれほど余裕があるわけではない。
■株価が上昇しつづけるTWOSTONE!
TWOSTONEの時価総額は約310億円。株価指標的には割高であるものの、株価の上昇は止まらない。TWOSTONE(旧ブランディングエンジニア)は2020年7月7日に東証マザーズに上場し、約1.3億円の資金を調達している。公開価格ベースの時価総額は25億円、初値は150億円という状況で上場しており、公開前にはそれほど評価されないと思っていたのではないだろうか。
現在の時価総額は300億円を超えており、約3年前の上場時の値付けが大きく歪んでいたのは間違いないだろう。ただ、現状の株価は企業価値と大きく乖離していることは間違いない。企業の評価は成長性と収益性から考えるべきであり、TWOSTONEにかぎらず、成長性は調整できても、収益性の変更はビジネスモデルの根幹であり、変革はむずかしいからだ。
以 上