FinTech(フィンテック)のコンサルティングサービス、Atlas Technologies(アトラステクノロジーズ)

 独立系のFinTechコンサルティング企業として戦略から実行まで支援するAtlas Technologies(以下、アトラステクノロジーズ)。決済サービス領域に強いのが特徴。NTTドコモとのつながりが強く、売上高の75%はNTTドコモとなっている。これまでは80%を超えていたNTTドコモ比率が段階的に下がってきているものの、依然としてNTTドコモに業績を左右される構造がつづく。

■基本情報(2023年8月15日時点)

  • 株価:795円(10年来高値:2,663円)
  • 時価総額:56億円
  • 予想PER:12.6倍
  • PBR:2.24倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:86.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,211人(2022年12月31日時点)

■アトラステクノロジーズの業績は?

 アトラステクノロジーズの2023年12月期の第二四半期の売上高は14.5億円(前年比+0.4%増)、営業利益1.9億円(前年比△51.8%減)の増収減益。アトラステクノロジーズの売上総利益率は+31.8%(前年は+39.8%)、営業利益率は+12.8%(前年は+26.8%)と悪化している。

 アトラステクノロジーズの売上総利益は前年の5.7億円→4.6億円と△1.1億円のマイナス、販管費は1.9億円→2.8億円と+0.9億円の増加となり、差し引きで△2.0億円の営業利益の減少となった。営業利益は前年の3.9億円→1.9億円に減少している。

■アトラステクノロジーズの事業状況は?

 アトラステクノロジーズは決済関係を得意とするFinTech関係のコンサルティング企業だ。戦略立案、要件定義、開発・テスト、システム運用・保守まで一貫して支援できる会社。アトラステクノロジーズのコンサルタント数は36名(前年末比+9名)。同社の社長はソフトバンクグループのSBペイメントサービスの出身。

 アトラステクノロジーズの主な顧客は、通信キャリア、カード会社、決済代行会社、総合商社、フードデリバリーなど。

 アトラステクノロジーズの顧客数をみると、現状で12社。新規顧客はそれほど多くなく、年間で2~8社くらいで推移している。アトラステクノロジーズの売上高の75%はNTTドコモに依存しており、これまでも売上高の80~90%くらいはNTTドコモに依存している。しかしながら、大株主の一覧にNTTドコモまたは関連する投資ファンドの記載がなく、顧客とベンダーとの関係のようだ。

■主要顧客の依存度はリスク!

 アトラステクノロジーズの最大のリスクは、NTTドコモとの取引がどこまで続くかにかかる。他社の例でいえば、2021年4月にAI insideの大口顧客であるNTT西日本と契約更新をしないことで売上高の多くを失い、株価は一気に低迷。

AIインサイド(AI inside)、大口OEM顧客のNTT西日本の契約失う!(2021年5月29日投稿)

 不正検知サービス・決済サービスを提供している、かっこは、ジャックスの子会社であるジャックス・ペイメント・ソリューションのサービス終了にともない、売上高の35%を失う発表が2022年11月にあった。それにより、かっこの株価は大きく下落。

リアルタイム不正検知サービス(SaaS型)のCacco(かっこ)、堅調なストック収益!(2021年2月27日投稿)

 2023年8月、ビッグデータの活用サービスを手掛けるダブルスタンダードは主要取引先である大和ハウス系の大和リビングと2025年3月末で個別契約を終了すると発表。大和リビング向けの売上高は42.5%で業績に大きな影響が発生する。その結果、株価は大きく下落している。

低収益事業見直しのダブルスタンダード、eKYCとデータクレンジングの技術!(2022年10月9日投稿)

■アトラステクノロジーズの財務状況は?

 アトラステクノロジーズの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は24.8億円、ほかには目立った資産はない。負債も目立った資産はない。財務的には健全だ。

 キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+1.2億円、投資CFは△6.7百万円、財務CFは株式発行により+2.2百万円。現預金は24.8億円。アトラステクノロジーズは2022年10月26日に東証グロース市場に上場。上場により約16億円を調達している。

■アトラステクノロジーズの株価推移は?

 アトラステクノロジーズの時価総額は56億円。今期の1株あたりの当期純利益(EPS)は62.9円。予想PERを20~30倍で考えると、予想株価(理論株価)は1,260円~1,890円。現在の株価795円は割安感はある。しかしながら、業績の進捗率をみると、未達になる可能性があり、株価はその未達可能性を織り込んでいると考えることができる。

(画像1)アトラステクノロジーズの株価推移

以 上

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