名刺やオンライン名刺などで営業活動を企業内で共有するサービスを展開しているSansan(サンサン)。インボイス制度の開始により、インボイス管理サービス「Bill One」が前年同期比+170%超の伸びとなっている。今後の成長戦略や業績はどうなるのか?
名刺を活用した営業DXのSansan、名刺ビジネスから営業周辺事業の領域拡大!(2023年4月23日投稿)
オンライン名刺のSansan(サンサン)、成長性を重視して積極投資の赤字!(2021年10月9日投稿)
■基本情報(2024年4月12日時点)
- 株価:1,535円(10年来高値:3,642円)
- 時価総額:1,931億円
- 予想PER:157倍
- PBR:14.3倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:41.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:6,792人(2023年5月31日時点)
■Sansanの業績は?
Sansanの2024年5月期の第三四半期の売上高は242億円(前年比+33.3%増)、営業利益11.1億円(前年比+46.5%増)の増収増益。Sansanの売上総利益率は+85.2%(前年同期は+86.6%)、営業利益率は+4.6%(前年は+4.2%)。売上総利益率が高い中で、広告宣伝など積極的に投資をしている。
Sansanの売上総利益は前年の157億円→206億円と+49億円の増加、販管費は前年の152億円→199億円と+47億円の増加となり、営業利益は差し引き+2億円の改善となった。
■Sansanの事業状況は?
Sansanの売上高内訳をみると、Sansan/Bill One事業が前年比+33.5%と高い成長をしている。いっぽう、個人向けのEightは前年比+23.3%と少し成長性が落ちるものの、+20%台と十分高い成長をしている。
Sansan/Bill One事業のさらに内訳をみると、Bill Oneが前年比+176.6%と非常に高い伸びとなり、会社全体の成長を引っ張っている。業績面では2024年2月に料金体系の適正化(いわゆる値上げ)を実施。4Q移行にその効果が出てくるのではないだろうか。
Sansanの売上高比率をみると、営業DXサービスのSansanが69%、インボイス管理サービスのBill Oneが18%、法人向け名刺管理サービス、ビジネスイベントのeightが8%となっている。
■Sansanの会社概要は?
Sansanは2007年6月に設立し、従業員数は1,698名となっている。東京、大阪、福岡、愛知に支店があり、徳島、京都、新潟にサテライトオフィスがある。海外は、シンガポール、フィリピンなど。
■Sansanの財務状況は?
Sansanの2024年2月29日時点の財務諸表をみると、現預金は200億円、投資有価証券は41億円、敷金27億円。負債をみると、有利子負債は約47億円、前受金106億円となっている。財務的には健全だ。積極的に広告宣伝に投資しているものの、すでに黒字化が定着している。前年比+30%をどこまで維持できるかがポイントだ。
■Sansanの株価推移は?
Sansanの時価総額は約1,900億円。2021年11月の上場来最高値からすでに時価総額は半値以下になっている。営業DXの分野では、Salesforceドットコムと並び、企業に欠かせない営業ツールになっており、差別化が図れている。しかしながら、大手企業ではほぼ導入がかなり進んできたのではないだろうか。成長性が鈍化すると、どこまで株価が下がるか見えないリスクは残る。
以 上