フォトウェディングや成人式フォトサービス「NALU(ナル)」などライフイベントの写真サービス事業を展開しているデコルテ・ホールディングス(以下、デコルテ)。上場後に利益率が大きく悪化し、株価は右肩さがり。前年比で株価は半値以下まで下がっており、ほぼすべての株主が含み損を抱えている状況だ。今後の業績および株価はどうなるのか?
フォトウエディング出店つづくデコルテホールディングス、インバウンド需要つづくか?(2023年11月26日投稿)
前年比減益のデコルテ・ホールディングス、出店加速で固定費増がひびく!(2023年8月5日投稿)
■基本情報(2024年12月6日時点)
- 株価:275円(10年来高値:1,680円)
- 時価総額:16億円
- 予想PER:11.8倍
- PBR:0.29倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:37.8%
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:3,277人(2023年9月末時点)
- 事業価値:38億円
■デコルテの業績は?
デコルテの2024年9月期の売上高は56億円(前年比△4.5%減)、営業利益2.2億円(前年比△75.4%減)の減収減益。デコルテの売上総利益率は+33.0%(前年は+39.9%)、営業利益率は+3.9%(前年は+15.2%)と大きく悪化している。
デコルテの売上総利益は前年の23.3億円→18.4億円と△4.9億円の減少、販管費は前年の14.5億円→15.4億円と+0.9億円の増加となり、約6億円の利益減となった。
■デコルテの事業状況は?
デコルテの業績悪化の要因は、①売上減、②人件費増、③広告宣伝費増、の3つが主な要因。ただ、人件費は平均年収420万円くらいの会社であり、正直、給与水準はそれほど高くなく、世の中の状況的に給与アップは必須と思われる。
2022年9月期の平均年収は465万円だったものの、2023年9月期は420万円と10%ほど下がっている。社員のモチベーションはかなり下がっているのではないだろうか。
デコルテグループの従業員数は444名(フォトグラファー175名、メイクアップアーティスト165名)であり、残り104名は経営幹部および通常スタッフとなる。店舗数は1年前の33店舗から34店舗と+1店舗しか増えていないものの、従業員は大幅に増加した形だ。
■競合他社は?
競合であるスタジオアリス(売上高368億円、営業利益27億円)は堅調な株価であるものの、デコルテの時価総額が極めて低い。スタジオアリスは成長が足踏みであるものの、安定的に利益を稼ぐ仕組みとなっている。
■デコルテのキャッシュフローは?
デコルテで気になるのはキャッシュフロー。利益はそれほど出ていなくても、キャッシュがうまく回っていると倒産することはない。
デコルテの営業CFは+7.2億円、投資CFは△2.1億円、財務CFは△10.9億円で現預金は△5.9億円の減少となった。キャッシュがどんどん減っている。営業CFがしっかり出ているように見えるものの、店舗の賃貸料を営業CF→財務CFに組み替えているため、表面上は営業CFが大きく見える。
デコルテの年間支払利息は約1億円。有価証券報告書をみると、借入利息は年率1.6~1.9%で借りている。長期借入については2035年まで利息を固定しているので、金利上昇の影響はそれほど大きくないかもしれない。
■デコルテの株価推移は?
デコルテの時価総額は約16億円。ここまで時価総額が小さいと、ちょっとしたイベントで株価が倍増する可能性はある。デコルテの売りは、大株主がゲーム会社のMIXIであること。いっぽうで、心配事は約100億円ののれんだ。のれんを減損すると、一気に債務超過となる。
デコルテののれんは、上場時の投資家が旧創業者から100億円以上で会社を買い上げ、デコルテの貸借対照表にその買収資金を入れ込んだことが理由。いわゆる、LBOを活用したと思われる。株式公開時の時価総額は97億円で、株式の売り出しは約70億円。100億円以上で買収した会社であるので、投資家は大きな含み損を負っているだろう。
以 上