「The NORTH FACE」などのスポーツウェアを中心に展開するゴールドウイン。2020年8月7日に2021年3月期の第一四半期の決算を発表した。決算短信とあわせて、大幅な業績予想の修正も発表。開示資料を読むと、業績予想の修正もいまだ保守的に織り込んでいると記載されている。アパレルメーカーが軒並み厳しい状況のなか、ゴールドウインは無難に難局を乗り切ることができるのか?
■基本情報(2020年8月7日時点)
- 株価:6,840円
- 時価総額:3,259億円
- 予想PER:48.4倍
- PBR:7.06倍
- 予想配当利回り:0.87%
- 自己資本比率:53.2%
- 会計基準:日本基準
■ゴールドウインの業績は?
ゴールドウインについて前回(2020年5月3日)は「スポーツウェア大手のゴールドウイン(8111)、割高!?適正株価はいくらか?」にて投稿。この約3か月間で株価は約15%ほど上昇した。新型コロナウイルスの影響によってアパレルメーカーが軒並み苦戦するなか、ゴールドウインの株価は逆境の中で上昇している状況だ。
ゴールドウインの2021年3月期の第一四半期の売上高は122億円(前年同期比△32.5%)、営業利益は△4.8億円(前年同期は19.0億円の黒字)と大幅な減収減益となった。ゴールドウインの決算説明資料をよむと、この厳しい業績とは違い、足元の堅調な業績が発表されている。たとえば、月別の前年同期比を見ると、4月は前年同期比51%、5月は同56%、6月は同103%と6月度には前年同期を超える売上高となっている。
■2020年6月度は前年同月比プラス!
ゴールドウインは2020年4月~5月にかけて直営店を臨時休業した影響があり、大きく前年同月比マイナスの売上高となった。いっぽう、6月からは全店舗の営業を再開させており、外出自粛の反動で売上高が大きく反発した形だ。個人投資家としては、6月度の前年同期比プラスをどのように考えるかが重要だ。一時的な反動と考えると、海外からの外国人旅行者(インバウンド需要)が激減しており7月以降は前年比マイナスとなる考えと、もう一つは、国内の顧客が大きく戻っている(増えている)という考え方(海外分は減っているため)。
ゴールドウインの2020年8月6日に公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」では、2020年4月~9月の業績について、売上高+90億円、営業利益+46億円の上方修正としている。この業績予想の見直しについても、決算説明資料をよむと、7月~9月は前年比67%の見通しと保守的に見ているとコメントしている。8月6日に公表していることを考えると、2020年7月度も6月に引き続き前年比プラスだったと考えることもできるが、その点についてはコメントおよび開示されていない。
■ゴールドウインの株価推移は?
ゴールドウインの株価推移を見ると、中長期では下落トレンドに入ったように見える。ゴールドウインの時価総額は3,000億円をこえており、競合他社のアシックス(2,500億円)、デサント(1,400億円)、ミズノ(500億円)と比べると割高だ。スポーツウェアメーカー各社が大きく苦戦する中、ゴールドウインだけが無難に難局を乗り切れるのだろうか。一時的には業績予想の修正を好感して反発するかもしれないが、中長期の業績見込みを考えると、積極的に買える株価ではない。
以 上