電子コミック「めちゃコミック」を展開するアムタスを傘下にもつインフォコム。漫画(コミック)の電子書籍化の追い風に乗り、業績は絶好調だ。インフォコムは電子コミックを展開するネットビジネス事業とITサービス事業の2つに分けて展開している。インフォコムの電子コミックのネットビジネスは、売上高全体の約7割を稼ぎ、利益では約9割を稼ぐ。競合他社のLINE、ビーグリー、Amaziaなどの業績も好調で、電子書籍取次大手のメディドゥも好調だ。新しい市場拡大の恩恵を業界全体で受けている状況がつづく。
■基本情報(2020年8月21日時点)
- 株価:3,550円
- 時価総額:2,045億円
- 予想PER:29.4倍
- PBR:5.3倍
- 予想配当利回り:0.87%
- 自己資本比率:75.9%
- 会計基準:日本基準
■絶好調の電子書籍業界!インフォコムも好調
「めちゃコミック」を展開しているインフォコムの2021年3月期の第一四半期の売上高は156億円(前年同月比+22.9%)、営業利益20.9億円(前年同月比+68.6%)と大幅な増収増益となった。業績拡大を引っ張っているのは「めちゃコミック」の属するネットビジネスセグメントだ。営業利益20.9億円のうち、ネットビジネスセグメントで19.3億円を稼いでいる。
■右肩あがりの電子コミック事業!
電子コミック(漫画)は、2017年~2018年は違法サイト問題(海賊版サイト)による影響で同業他社ともに大きく落ち込んだものの、違法サイト(漫画村など)の閉鎖などにより2019年度からは大きく回復。さらに、2020年からはじまった新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり消費」への転換により、電子コミック事業は特需を取り込む形となった。インフォコムの展開する「めちゃコミック」も2020年第一四半期に大きく売上高を伸ばしている。
インフォコムで気になるのは決算説明資料が簡素である点。あまり力を入れていない。同業他社であれば、今後の事業展開などをくわしく記載しているものの、インフォコムについては数値面の実績と予算(計画)のみ。もう少し、今後の戦略などを決算説明資料に織り込んでほしい。
■インフォコムの株価推移と今後の行方は?
インフォコムの株価は上場以来、右肩あがりがつづいている。現在の時価総額は約2,000億円であるものの、ゆるやかな上昇トレンドで過熱感はそれほどない。コミック(漫画)はすでに電子書籍の比率が60%ほどと言われている。文字もの(小説やビジネス書など)や雑誌はコミックにくらべて電子書籍化が遅れていて、電子書籍化率は10%未満。いま電子書籍で業績をのばしている企業はどこもコミック(漫画)を取り扱っている企業で、市場の成長が一服したときに競争激化による値下げ競争が起こる可能性に注意したい。
「コミックシーモア」「Kindle」「honto」「まんが王国(ビーグリー)」「楽天kobo」「eBookJapan(イーブックイニシアティブ)」など大手企業が電子コミック市場で事業を展開。これから1~2年の間に電子書店の統廃合または選別が起こるかもしれない。業界全体の伸びの鈍化に注意が必要だ。
以 上