預かり資産3,200億円を超えるロボアドバイザーによる資産運用サービスを展開しているウェルスナビ(WealthNavi)。預かり資産の1%の手数料を受け取るストック型のビジネスを展開している。2020年12月22日に上場してから約2カ月で、ウェルスナビの時価総額は1,300億円まで上昇している。オンラインで、しかもスマートフォンで簡単に資産形成ができるビジネスモデルで目新しさが目立つウェルスナビ。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年2月19日時点)
- 株価:3,025円(10年来高値:3,395円)
- 時価総額:1,379億円
- 予想PER:未定
- PBR:19.94倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:45.0%
- 会計基準:日本基準
■ウェルスナビの業績は?
ウェルスナビの2020年12月期の売上高は25.2億円(前年比+62.1%増)、営業利益△9.8億円(前年は△20.6億円の赤字)と増収であるものの引き続き営業赤字となった。ウェルスナビの売上高(営業収益)の98%は資産運用額に対する1%の手数料収入。2020年12月期にテレビCMなどの広告宣伝費で11.4億円を計上しており、広告宣伝費を除く営業利益では+1.6億円の黒字となっている。
■広告宣伝費を除いて営業黒字に!
ウェルスナビは広告宣伝費を除いて、ようやく四半期ベースでの黒字がつづいている。預かり資産は3,200億円を突破したものの、当面は成長投資として広告宣伝をつづけて営業赤字が継続するはずだ。ウェルスナビは上場当初から期待度(知名度)が高く、時価総額は1,000億円を超える水準がつづている。
日本の株式市場にとっては珍しいビジネスモデルのため、適正な株価水準がまだ見えない状況だ。約10年前にライフネット生命が上場したときに似ていて、妥当な株価水準がわからず、どこかで成長鈍化や営業赤字を嫌って株価が下落するパターンを想定してしまう。ライフネット生命は上場当初の高値を超えるにに約10年かかり、時価総額は一時200億円レベルまで調整した(いまは時価総額1,000億円前後)。
■ウェルスナビの手数料は?
ウェルスナビの手数料は預かり資産の1%とわかりやすい。日本のロボアドバイザーをつかった資産運用は、2016年頃からスタートした新しいもの。中長期で株式市場が低迷した場合にも運用益を出すことができるか注視したい。
■魅力はストック型ビジネス!?
ウェルスナビの魅力はストック型のビジネスである点だ。いかにロボアドバイザーが魅力的なものであるか投資家(潜在的な投資家含む)に伝えて、ロボアドバイザーを利用してもらうこと。そのために、テレビCMを活用して多くの人に知ってもらうことに力を注いでいる。従業員数は91名で、その半分はエンジニアまたはウェブデザイナーとなっている。解約率は1%未満。
■金融機関との広がる連携!
ウェルスナビは金融機関との連携を深めている。金融機関のウェブサイトよりウェルスナビのロボアドバイザーのリンクを見たことがある人も少なくないのではないだろうか。金融機関はアフィリエイトビジネスのように紹介者につき手数料を受け取っていると思われる。
■ウェルスナビの競合と株価の行方は?
ウェルスナビの競合となっているのは、マネックス証券の「ON COMPASS(オンコンパス)」、楽天の「楽ラップ」、お金のデザインの「THEO(テオ)」の3つ。「THEO」はNTTドコモと提携しており、今後の株式上場の可能性もありえるだろう。お金のデザインの取締役会長は谷家衛氏という人でライフネット生命など出資をしていた人(西村康稔・経済再生担当相の高校時代の同級生)。ロボアドバイザーをおこなっている4社ともに手数料は預かり資産の1%前後となっている。
ウェルスナビの時価総額は1,300億円。世界的な金融緩和と財政支出により株価は高く評価されており、ウェルスナビの株価にも大きく影響している。ウェルスナビの成長率が維持されるならば、いまの時価総額も正当化される可能性はある。成長鈍化がみられたときは、大きな調整が起こるかもしれない。当面は様子見が無難だろう。
以 上