ユーチューバー(YouTuber)事務所としてクリエイターの管理・サポート(グッズ販売、イベントなど)をしているUUUM(ウーム)。売上高は堅調に増加しているものの、営業利益は前年割れとなった。UUUMの従業員数は2021年5月末時点で581名とかなり大きな事務所になり、販管費の人件費負担が重い。UUUMの今後の業績と株価はどうなるのか?
YouTuberを軸にしたプロモーション企業のUUUM(ウーム)、動画再生回数は低下!(2021年4月18日投稿)
■基本情報(2021年7月16日時点)
- 株価:1,483円(10年来高値:6,870円)
- 時価総額:293億円
- 予想PER:62.3倍
- PBR:7.42倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:40.5%
- 会計基準:日本基準
■UUUMの業績は?
UUUMの2021年5月期の売上高は245億円(前年比+9.0%増)、営業利益8.2億円(前年比△17.9%減)の増収減益となった。UUUMの売上総利益率は+26.5%(前年は+27.6%)、営業利益率は+3.3%(前年は+4.4%)と若干ではあるが悪化傾向となっている。
UUUMの売上高は主にグーグルアドセンスからの広告収益(YouTubeからの収益)と企業とのタイアップ案件広告の2つがメインとなっている。グーグルアドセンスの広告においては、クリエイターであるYouTuberに約8割の収益を渡しているため、タイアップ広告などを加えても、売上総利益率は+20%をベースに前後する水準から大きく変化しないと思われる。
UUUMの今の事業構造を考えると、営業利益率が10%を超えるのは非常にむずかしい状況だ。加えて、販管費の半分を占めているのは人件費だ。UUUMの従業員数は581名(2021年5月末時点)で、UUUMに所属するクリエイターが増えれば増えるほど、管理すための従業員が必要になる。現在のUUUM所属のチャンネル数はなんと1.4万チャンネルとなっている。従業員数581名×人件費600万円で試算しても年間34.9億円ほどの固定費が必要になる(四季報の平均年収は511万円)。
大手芸能プロダクションで上場しているアミューズは売上高398億円、営業利益35億円で従業員数は300名ちょっと。従業員数だけを見ると、UUUMのほうが規模は大きい。アミューズに所属しているタレント(アーティスト)は201組の295名。アミューズの有名なタレントとしては、福山雅治、ディーン・フジオカ、吉高由里子、賀来賢人、神木隆之介、上野樹里、野村周平など。アミューズとUUUMで事業モデルが大きく異なるが、アミューズは約300名、UUUMは1.4万名を管理していると考えると、UUUMの管理コストの大きさが見えてくる。
■UUUMの事業モデルは?
UUUMの事業モデルは所属するユーチューバーの再生回数増加によるグーグルアドセンスからの広告収入増や企業とのタイアップ広告などから仲介手数料を稼ぐ仕組みだ。一般的にグーグルアドセンスからの広告料に対して、20%の手数料をUUUMは受け取っていると言われている。
これまで動画再生回数と所属ユーチューバーのチャンネル数は増加してきていたものの、昨年の8月くらいからチャンネル数は増加しているものの、動画再生回数が減少している傾向になっている。つまり、登録者数の多いユーチューバーが脱退しているということだ。
チャンネル登録者数100万人を超える有名ユーチューバーの脱退では、2020年2月に木下ゆうか(登録者数:545万人)、2020年4月に関根理沙(同:136万人)、2020年6月にエミリン(同:135万人)、2021年1月に、いよたなるみ(ボンボンTV)(同:213万人)などが脱退している。
■UUUMの株価の行方は?
UUUMの時価総額は約290億円。2018年~2019年はYouTubeの期待感がものすごく、UUUMの業績も急拡大していくと思われていた。しかしながら、ユーチューバーは自分で撮影・編集・投稿ができるため、UUUMの活躍する部分はそれほどなく、手数料20%を取られることに納得できずに脱退するクリエイターが相次ぐ状況となっている。
UUUMの収益構造として、それほど高収益なビジネスモデルではないことがわかり、ここから株価が急拡大する可能性は非常に低いと思われる。むしろ、いまの収益レベル・収益率では時価総額290億円でも割高感を感じてしまう。この状況を打開するには、新規事業による事業構造の転換が必要かもしれない。
以 上