ビッグデータ解析のプラスアルファ・コンサルティング、SaaS型で継続課金ビジネス!

 コールセンター業務など顧客の声を言語化したり、ECサイトの商品購買データから顧客行動を可視化するデータマイニングサービスを展開しているプラスアルファ・コンサルティング(以下、PAコンサル)。2021年6月30日に上場したクラウドサービス(SaaSビジネス)を展開している会社。従業員数は173名(2021年6月30日時点)。PAコンサルは上場したばかりであるものの時価総額は1,000億円を突破。PAコンサルの業績と事業内容はどうなっているのか?

■基本情報(2021年7月21日時点)

  • 株価:2,698円(10年来高値:2,968円)
  • 時価総額:1,080億円
  • 予想PER:90.7倍
  • PBR:26.69倍
  • 予想配当利回り:0.22%
  • 自己資本比率:80%
  • 会計基準:日本基準

■PAコンサルの業績は?

 PAコンサルの2021年9月期の第二四半期の売上高は28.8億円、営業利益10.4億円。PAコンサルの売上総利益率は+71.0%、営業利益率は+36.2%と非常に高い。PAコンサルの2020年9月期の実績は売上高47.3億円、営業利益14.3億円、今期は売上高60億円、営業利益18.4億円を計画しており、前年比で+26.8%ほど伸びる見通しだ。

 PAコンサル成長性・収益性ともに高く、しかも継続課金モデルの事業をおこなっている。基本的にはこれまでの売上高に新規顧客の売上高が加算されていく事業モデル。2020年3月の株価が急落したコロナショック後はSaaS型ビジネスをおこなっている会社の株価が急騰しており、たとえば、ラクス、freee(フリー)、マネーフォワード、Sansanなどの時価総額が高い。PAコンサルの業績を見ながら、他社の時価総額を見ると、もう少しPAコンサルの時価総額が高くても問題はないように思える。

■PAコンサルの事業内容は?

 PAコンサルはビッグデータを活用したデータマイニング技術を核に、3つの事業をおこなっている。1つは「見える化エンジン」というマーケテイング支援ツール。アンケート、コールセンターのログ、SNSなどのテキスト情報を分析して「見える化」するもの。契約社数は458社。継続契約率は93.8%。2020年9月期の「見える化エンジン」の売上高は16.3億円(前年比+1.6%増)、営業利益10億円。

 2つ目は「カスタマーリングス」というマーケテイング支援ツール。主にECサイトなどのアパレル、健康食品、化粧品などで使用されている。契約社数は297社、継続契約率は95.7%。売上高は12.2億円(前年比+14.1%増)、営業利益4.3億円。

 3つ目は「タレントパレット」という人材活用プラットフォームサービス。主に人事部門で利用される、社員のスキル・適正・評価などを見える化して活用できるサービス。契約社数は568社、継続契約率は72.6%。売上高は18.8億円(前年比+144.4%増)、営業利益5.6億円。PAコンサルのなかで最も成長しているサービスだ。

■PAコンサルの強みは?

 PAコンサルは2006年12月に設立されてから、「見える化エンジン」「カスタマーリングス」「タレントパレット」など新サービスを順次投入している。2016年度に「タレントパレット」を導入したときの売上高は17.4億円、営業利益4.6億円。たった4年後の2020年度には売上高47.3億円、営業利益14.5億円まで増加している。

 社会のなかでECサイトやコールセンター、SNSなどが発達し、顧客や従業員のさらなる戦略を打つ手段をほしいと考える企業のニーズとPAコンサルのサービスがうまくマッチングするようになった。これまでは人の手で分析していたことが、PAコンサルのデータマイニングを活用するほうが顧客企業にとってコストが低くなった。最近話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)のひとつだ。

 PAコンサルのサービスを支えているのは、言語処理技術、マイニング技術、データ解析などのIT関連の技術。それらをうまく組み合わせることで顧客に必要とされるサービスを展開している。現在の売上高のリカーリング比率(月額課金比率)は平均83.4%、「タレントパレット」が72.6%と少し低いものの、売上高の8割以上は継続課金で成り立っている。

■PAコンサルの株価の行方は?

 PAコンサルの時価総額は約1,000億円。ビッグデータを活用した企業の評価はどこも高く、注目が集まっている。たとえば、医療情報を武器に業績を拡大させているメディカルデータビジョン(MDV)やダブルスタンダードやユーザーローカル。

ビッグデータ、AI、RPAのダブルスタンダード(3925)、これからのビジネス、SBIと提携も!(2020年9月5日投稿)

ビッグデータ、ネット分析のユーザーローカル(3984)、株価の行方は?(2020年7月11日投稿)

 PAコンサルは月額課金モデルのため、安定した成長が期待できる。1つ心配な点は主力の「見える化エンジン」がほとんど成長してない点だ。しかしながら、「タレントパレット」が急成長しており、会社全体では前年比25%を超える成長を計画している。クラウドサービスを展開している継続課金モデルの企業はどこも時価総額が高く、ラクスは時価総額約5,500億円、freee(フリー)は約5,000億円、Sansanは約2,600億円。PAコンサルに海外機関投資家の資金が流れてくれば、ここから株価は倍増以上になる可能性は十分ある。

 ただし、米国のテーパリング(金融緩和の縮小)が起こると、グロース銘柄の評価は下がるため注意が必要だ。PAコンサルは上場してから約1か月。まだ株価に方向感が出ておらず、いったん下がってから上がるのか、これから上昇していくのかわからない。

(画像1)PAコンサルの株価推移、上場したばかりで約1か月分のみ

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする