ゲーム事業の売上総利益率が大幅悪化のgumi、NFT期待はつづくか?

 「FFBE幻影戦争」や「乃木坂的フラクタル」などスマートフォンゲームやVR事業、ブロックチェーン事業をおこなっているgumi。創業者の國光氏が2021年6月に退任し、新規事業などへの期待が沈んだ後、ブロックチェーン技術を活用したゲームの開発をするダブルジャンプ東京(gumi出資先)へのバンダイナムコからの追加出資が決まり、一時的に株価は盛り返していた。そのような中の決算発表で予想はあったものの、営業赤字となってしまった。gumiの株価と業績はどうなるのか?

NFT期待が抜けたgumi、創業者の國光会長退任で株価の行方は?(2021年6月12日投稿)

デジタル資産「NFT(代替不可能なトークン)」期待!?ゲーム会社gumiの行方は?(2021年3月27日投稿)

■基本情報(2021年9月10日時点)

  • 株価:951円(10年来高値:3,340円)
  • 時価総額:297億円
  • 予想PER:13.8倍
  • PBR:1.71倍
  • 予想配当利回り:0.52%
  • 自己資本比率:61.4%
  • 会計基準:日本基準

■gumiの業績は?

 gumiの2022年4月期の第一四半期の売上高は36.5億円(前年同期比△31.8%減)、営業損失△6.0億円(前年同期は+9.5億円の黒字)と減収赤字転換となった。gumiの売上総利益率は+4.9%(前年同期は+33.3%)、営業損失は△16.3%(前年同期は+17.8%)と大幅な悪化となった。

 特に気になるのは売上総利益率が+33.3%→4.9%に急激に悪化している点だ。通常であれば売上総利益率はそれほど変動がないものであるものの、gumiは新しく販売したゲームタイトルに連動した開発費用などを原価計上したため、売上高にマッチしない大きな原価が発生したことにより売上総利益率が大きく悪化したと思われる。

 心配な点はgumiのソフトウェア仮勘定はいまだ39億円残っており、2021年4月末に比べて5億円ほど増加している点だ。これからソフトウェア仮勘定の原価計上が発生すると思われるため、売上高が増加しないなかで損益率が急激に悪化していく可能性がある点に注意が必要だ。

■気になる原価の増加

 gumiの売上原価の中身をみると、Appleやグーグルに対する支払手数料は前年同期の11億円から6.4億円に大きく減っているものの、人件費と外注費は2億円ほど増加。通信費が4.4億円発生しており、どのような理由で通信費がここまで大きな金額が発生しているか説明はない。

 販管費は広告宣伝費を抑えた結果、約60百万円の減少となった。しかしながら、販管費の人件費も前年同期比で+40百万円ほど増加している。gumiの従業員は現時点で864名。ここ2年くらいほぼ横ばいであるが、販管費の人件費が大きく上昇しているのは気になる点だ。

■gumiのブロックチェーン関連の行方は?

 gumiの株価を支えているのは出資しているダブルジャンプ東京(DJT)への期待だ。ダブルジャンプ東京はブロックチェーン技術を活用したNFTゲームの専業開発会社。2018年4月に設立された新しい会社。

 正直、NFT(非代替性トークン)がビジネスでどこまで広がるのか個人的にはまったく理解できていない。ブロックチェーンの技術は、データをつないで、過去の取引データを改ざんできないというもの。不動産登記やゲームのアイテムの所有権などで活用されると思うが、いかにビジネスで広がり、gumiがその領域で稼ぐのか見えてこない。

 そもそも、仮想通貨も価格上昇に対する期待以外に実用面で必要になることもないため、いまは金余りのマネーゲームの側面だと考えている。

■gumiの株価の行方は?

 gumiの時価総額は約300億円。いまの業績がつづくと、年間売上高120億円、営業損失△24億円くらいになる可能性がある。本業であるゲーム事業が大きく落ち込んでおり、いまの株価から大きく上昇する可能性はNFT期待しかない。

 業績と株価がある程度マッチするという前提で考えると、将来の姿が見えないgumiをここで購入する必要はないのではないだろうか。NFTの将来のビジネスモデルが見えてから投資しても遅くないかもしれない。

(画像1)gumiの株価推移

以 上

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