株価急落のライフネット生命、増える再保険収入!

 オンライン生命保険のライフネット生命。1年前に株価1,700円だったものの、現在は米国の利上げを警戒したグロース銘柄の株価下落に巻き込まれ、2022年2月25日時点の株価は556円。3分の1以下まで下落中だ。ライフネット生命の成長性や収益力は変わっていないものの、株式市場の地合いで大きく株価が変動。ライフネット生命の業績と株価はどうなるのか?

オンライン保険プラットフォーマーに、ライフネット生命の戦略!(2021年9月19日投稿)

■基本情報(2022年2月25日時点)

  • 株価:556円(10年来高値:1,785円)
  • 時価総額:387億円
  • 予想PER:ー(赤字予想)
  • PBR:1.61倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:35.4%
  • 会計基準:日本基準

■ライフネット生命の業績は?

 ライフネット生命の2022年3月期の売上高は193億円(前年同期比+27.4%増)、営業損失△19.5億円(前年同期は△17.1億円)の増収赤字幅の拡大となった。

 ライフネット生命の売上高内訳を見ると、保険料収入146億円、再保険収入40.9億円と再保険収入が前年の22.9億円→40.9億円と+18億円の増加となっている。再保険収入はライフネット生命の用語解説によると「再保険契約においては、保険会社が再保険会社に再保険料を支払います。保険金の支払いが発生した場合には、再保険会社から保険会社に再保険金が支払われます。」と記載。

 おそらく、提携先の保険会社が保険リスクを分担するためにライフネット生命にも保険リスクの負担をお願いしている部分だと思われる。そのOEMのような位置づけの再保険収入が前年比倍増のような増加となっており、この伸びを除くと、ライフネット生命の保険料伸びは+18%となっている。なんとなく、伸びがかさ上げされて見えてしまうことに注意が必要だ。

■誤解していたEEV(保有契約の将来利益現価)

 ライフネット生命はEEVが伸びていることを決算説明資料で強調しており、これまではEEVと時価総額をくらべて割安か・割高かを見ていたが、数値の見方を誤解していた。EEVは純資産+保有契約の将来利益の現在価値、という計算式になる。

 このEEVは良いとこ取りだけしており、将来の事業運営費などのコストを織り込んでいない。なんとなく、企業価値算出のDCF法のように考えていたが、純資産+契約保険料の価値を足し合わせた内容で、企業価値≒EEVと考えてはよくないだろう。

■ライフネット生命の増資!

 ライフネット生命は2020年7月に約90億円(1株あたり1,027円)、2021年8月に約100億円(1株あたり1,133円)の増資を実施。増資を引き受けた投資家は含み損40%前後となっている。ライフネット生命としては絶妙なタイミングでの増資となった。

 当面は増資を引き受けた機関投資家など株価の売却がつづく可能性がある。個人投資家も高値の1,700円前後まで上昇したときに売りたい人は売っており、いまは含み損をかかえている投資家も少なくないだろう。

■ライフネット生命の株価の行方は?

 ライフネット生命の時価総額は約390億円。一時は時価総額1,000億円を超えていたものの、グロース銘柄の調整とともにライフネット生命の株価も大きく下落。2020年3月のコロナショック時にはそれほど株価は下落しなかったものの、今回の下落はかなりきつい。

 ライフネット生命の株価チャートをみるかぎり、いま買っても上昇トレンドに転じるまでには数年かかりそうだ。もしかすと、400円を割る可能性もある。増資のときに約束していたEEV1,000億円は達成しており、現在のEEVは1140億円。EEVは決して時価総額を表しておらず、ライフネット生命の成長性が示せないと時価総額が再び1,000億円を超えることは難しい。

 個人的には住宅ローン金利が低下し、住宅ローンの団体信用生命保険料は銀行負担となるケースがほとんど。ライフネット生命の死亡保険に加入するよりも、住宅ローンの団体信用生命保険で2,000万円~5,000万円の保険に加入しており、あらためて死亡保険に加入する理由が見えてこない。かりに同じ金額をライフネット生命で加入した場合、40歳で年間10万円~25万円の保険料が発生する。いまの団体信用生命保険は、ガンと診断されたら住宅ローンが半分になる特約などあり、それも銀行負担となっている。

 言い換えると、団体信用生命保険料が上昇してくれば、ライフネット生命などの死亡保険に加入する人が増えるかもしれない。

(画像1)ライフネット生命の株価推移

以 上

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