現実世界とは異なる仮想空間やバーチャル空間でのサービスとしてメタバースが注目されており、その領域に取り組んでいるgumi。主力のモバイルオンラインゲームは苦戦中で営業利益の赤字がつづいている。メタバース領域の事業はマネタイズをどうやっていくのかが見えない。gumiの業績と株価はどうなるのか?
メタバース領域に取り組むgumi!マネタイズに向けた仕組みづくりが必要(2021年12月12日投稿)
ゲーム事業の売上総利益率が大幅悪化のgumi、NFT期待はつづくか?(2021年9月11日投稿)
■基本情報(2022年3月11日時点)
- 株価:506円(10年来高値:3,340円)
- 時価総額:158億円
- 予想PER:ー
- PBR:1.37倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:50.0%
- 会計基準:日本基準
■gumiの業績は?
gumiの2022年4月期の第三四半期の売上高は141億円(前年同期比△4.8%減)、営業損失は△19.2億円(前年同期は+18.5億円)の減収赤字転落となった。gumiの売上総利益率は+8.8%(前年同期は+29.8%)と大きく悪化。
gumiの売上原価は、支払手数料、人件費、外注費、通信費などがあり、支払手数料が前年同期は+9億円だったものが、今回は+18億円に約9億円の増加となっている。中身は開示されていないものの、他社IP(知的財産権)を使用しており、その対価として一定の手数料を支払っているものと思われる。もうひとつは、AppleやGoogleへのアプリ手数料も含まれる。
売上総利益率がここまで落ちると、利益構造的に挽回は難しいように思う。開発タイトルの売上原価が高過ぎて、利益がでる構造になっていない。
■突然でてきたファンド投資の含み益100億円
今回の決算説明資料をみると、gCC1号という投資ファンドが2022年2月末時点のgumi帰属分が100億円超になっていると開示。世界最大のNFTマーケットプレイスのOpenSeaやゲーミングNFTのYGGなどメタバース領域や仮想通貨(暗号資産)関係の投資の含み益があると開示した。
gumiの「中期経営戦略」で営業利益率20%、営業利益100億円を目標値として公表しており、特別利益として含み益を実現する可能性はあるものの、投資家としては継続的な利益体質が改善していくことを期待していたのではないだろうか?
■gumiの株価推移は?
gumiの時価総額は約160億円。2021年6月くらいまでは下値を切り上げながら上昇トレンドをたどっていっていたが、創業者の國光会長が退任し、期待感が大きく剥落した。gumiの期待は國光会長のあたらしいことへのチャレンジ値であり、その期待が剥落した今、将来メタバース領域で拡大すると言われても信じることは難しいのではないだろうか。
客観的に財務諸表をみると、これまでの利益剰余金は△10.7億円と赤字。現預金は71億円あるものの、有利子負債は約65億円ほどあり、キャッシュ的にも余裕はない。オンラインモバイルゲームで安定的に利益を出して、VRやブロックチェーンであたらしい事業を作っていくというイメージだったものの、お金がそれほどない状態になっているのが現実だ。いまの株価の下落は國光会長退任で現実的な企業価値になっている過程ではないだろうか。
以 上