弁護士向け営業支援の弁護士ドットコム(6027)、株価は絶好調も過熱感!?

 弁護士向け営業支援や法律相談サイトを運営している弁護士ドットコム。いまもっとも力を入れているのは電子契約サービスの「クラウドサイン(CLOUD SIGN)」。「クラウドサイン」の導入企業数は7.5万社を突破。電子契約の市場シェアは約8割。リモートワーク推進や業務効率改善の点からも電子契約化の流れは止まりそうにない。「クラウドサイン」が業績面でしっかりした結果をだすことはできるのだろうか?

■基本情報(2020年6月12日時点)

  • 株価:9,420円
  • 時価総額:2,096億円
  • 予想PER:419倍
  • PBR:98.45倍
  • 予想配当利回り:0%

■弁護士ドットコムの事業内容は?

 弁護士ドットコムの2020年3月期の売上高は41億円(前年比+31.9%)、営業利益3.9億円(前年比△23%)と増収減益だ。営業利益が約4億円の会社の時価総額がなんと2000億円を超えている。弁護士ドットコムがここまで株式市場で評価されている理由は何か?

 弁護士ドットコムの事業は、相談・情報サイトの弁護士ドットコム、税理士ドットコム、ビジネスロイヤーズの3つと電子契約サービスの「クラウドサイン」をあわせた4つの柱がある。相談サイトにユーザーをあつめることで、有料会員サービスや弁護士、税理士に送客することで稼ぐビジネスモデル。弁護士ドットコムがいま力を入れているのは、電子契約サービスの「クラウドサイン」だ。

 弁護士ドットコムニュースの月間サイト訪問者数は2020年3月で1,181万人。ピークだった2019年3月よりも訪問者数が下落トレンドに入っているのは心配だ。有料会員数も減少傾向で、ピークの19.2万人(2019年9月)から17.8万人(2020年3月)まで減少。

 税理士ドットコムも同様で、月間サイト訪問者数は2020年3月に143万人と下落している(ピーク時は300万人ほど)。日本最大級の企業法務ポータルサイトであるビジネスロイヤーズも月間サイト訪問者数は下落傾向で50万人ほど。

■「クラウドサイン」の業績の影響は?

 弁護士ドットコムの相談サイトなどの有料会員サービスや弁護士事務所や税理士事務所への送客ビジネスは頭打ちの可能性がある。ここで期待されるのは電子契約サービスの「クラウドサイン」。導入企業数の市場シェアが80%超と言われており、時代の流れとともに電子契約が一般化される方向にすすむことが予想される。ただし、「クラウドサイン」は稼げるのか?という疑問は残る。

 2020年3月期の「クラウドサイン」を含む広告その他サービスというセグメントをみると、売上高は約10億円。現在はテレビCMなどのプロモーションにより、「クラウドサイン」は赤字と思われる。もっとも心配される点は導入企業数が7.5万社あるものの、売上高が10億円規模にとどまっている点だ。大手企業が導入することによって、グループ会社ふくめて、これからも増加すると思われるものの、市場規模がそれほど大きくないという点は心配だ。

■弁護士ドットコムの株価推移は?

 弁護士ドットコムの株価は絶好調だ。時価総額は2,000億円を超え、売上高が50億円に満たない企業とは思えない株価水準。新型コロナウイルスの影響によるテレワークやリモートワークなどにより電子契約の過度な期待が株価に織り込まれた状況だ。いったい、どこまで上昇をつづけるか誰にもわからないのが現状だ。しかしながら、どこかで期待が抜け、ある程度、業績を反映した株価に落ち着くと思われるものの、そのタイミングは誰にもわからない。

以 上

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