コンパクトマンション売却・不動産投資の「RENOSYマーケットプレス(旧RENOSY iBuyer)や不動産テックとして賃貸サービスなどを提供しているITANDI(イタンジ)を展開しているGAテクノロジーズ(GA TECHNOLOGIES)。ただ、現状は不動産投資のRENOSYのイメージがつよいGAテクノロジーズ。今後の業績と株価の行方は?
株価急落のGAテクノロジーズ、不動産価格高騰で利益率悪化!(2021年9月18日投稿)
不動産テックのGAテクノロジーズ、投資・仲介「RENOSY(リノシ―)」攻める事業戦略!(2021年5月23日投稿)
■基本情報(2023年1月13日時点)
- 株価:1,197円(10年来高値:3,995円)
- 時価総額:439億円
- 予想PER:102倍
- PBR:2.27倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:35.0%
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:8,027人(2021年10月31日時点)
■GAテクノロジーズの業績は?
GAテクノロジーズの2022年10月期の売上高は1,136億円(前年比+51.7%増)、営業利益10.3億円(前年は△11.1億円の赤字)と増収黒字転換。GAテクノロジーズの売上総利益率は+14.5%(前年は+13.7%)と若干改善。
GAテクノロジーズの売上高内訳をみると、全体の1,136億円のうち、1,108億円がRENOSYマーケットプレイスという不動産投資(コンパクトマンション売買)が占めている。全体の97.5%。ネットを中心に副収入がほしいサラリーマンを中心にコンパクトマンションを販売する事業モデルだ。不動産テックとして、ITANDI(イタンジ)というITサービスを展開しているものの、年間売上高は約20億円とまだまだ規模は小さい。
■RENOSYマーケットプレイスの状況は?
RENOSYマーケットプレイスは、売上高1,108億円、セグメント営業利益49.5億円と営業利益率は4.5%くらい。ポイントサイトや自社サイトで、資料請求から初回面談でAmazonギフト券5万円分をプレゼントというのにつられて、会員登録している人も少なくない。すでにRENOSY会員数は32.5万人(前年比+26%増)と大きな規模となっている。
サブスクリプションとして賃貸管理をGAテクノロジーズに任せている戸数は1.3万戸(オーナー数は7,066人)になり、ここから管理収入を得ていると思われる。ただ、売上高の内訳をみると、中古・新築のコンパクトマンションの売上高が約8割を占める。
■GAテクノロジーズの財務状況は?
GAテクノロジーズの2022年10月末時点の財務状況をみると、現預金は118億円、棚卸資産は80.6億円、投資用不動産は146億円、(広義の)のれん140億円となっている。有利子負債は約90億円と2021年1月に135億円の増資をしたために財務状況は健全な範囲だ。
ただ、収益性がさがると(広義の)のれんの減損により、一気にP/Lにマイナスが計上される可能性があることに注意が必要だ。純資産は193億円ほどあるため、(広義の)のれん140億円すべてを減損しても債務超過になることはない。
もっとも心配されるのは金利の上昇だ。金利が上昇しだすとRENOSYで購入する層が銀行借入できる限度が減るため、購入できる絶対層が減ること。必然的にGAテクノロジーズの業績にマイナスとなる。また、金利が上昇すると、投資用不動産の価値が下落する可能性があるので注意が必要だ。
■GAテクノロジーズの株価推移は?
GAテクノロジーズの時価総額は約440億円。不動産販売事業がメインであるものの、高成長のグロース銘柄としての評価がついていることに留意が必要だ。GAテクノロジーズの年間売上高は1,455億円、営業利益16億円。たとえば、フジ住宅(時価総額:238億円)は、年間売上高1,106億円、営業利益60億円。三栄建築設計(時価総額:314億円)は、年間売上高1,390億円、営業利益129億円。
ほかの不動産販売会社とくらべると、2倍近い時価総額になっている。しかも、利益水準は他社より大きく劣っている。成長性が評価されているものの、売上総利益率自体が他社と変わらないため、それほど利益の成長余力は大きくない。
以 上