ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を展開するクラシコム。エイジレスや「卒業のないブランド」をかかげ、ユニクロや無印良品などのような自社ブランドの確立をしながら顧客の信頼を高める販売戦略をおこなっている。ターゲットは30代以上の層。商品の価格が安くないことも特徴で、ミドルな価格帯で幅広い顧客層にアプローチしている。
「北欧、暮らしの道具店」のクラシコム、プロセスエコノミーのEC事業!(2022年10月23日投稿)
■基本情報(2023年3月31日時点)
- 株価:1,176円(10年来高値:1,962円)
- 時価総額:87億円
- 予想PER:13.9倍
- PBR:2.21倍
- 予想配当利回り:3.4%
- 自己資本比率:83.9%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:上場後未公表
■クラシコムの業績は?
クラシコムの2023年7月期の第二四半期の売上高は30.3億円、営業利益は5.0億円。まだ、上場後1年経過していないため、前年同期比を公表していない。決算説明資料をみると、今回の2Qの前年同期比を掲載しており、売上高は14.5億円(前年同期比+13.0%増)、売上総利益6.1億円(前年同期比+12.3%増)、営業利益2.2億円(前年同期は2.3億円)と営業利益は前年同期割れとなった。
クラシコムの売上総利益率の水準は、+42.5%(前年は+42.7%)と高い水準で推移している。最近の物価高や円安の影響を受けているものの、基本方針として売価に反映させるスタンスであり、売上総利益率の悪化はみられないのはプラスだ。
■クラシコムの事業内容は?
クラシコムは「北欧、暮らしの道具店」というオリジナルのECショップを展開している。キーワードとして、「シンプル」「ベーシック」「オーガニック」「サスティナブル」などが並ぶ。D2Cブランドという自社ブランドの比率が高く、50%ほどは自社製品となっている。
年間の購入者数は18万人超で推移している。オリジナルのアパレル商品が好調で、コート、ニット、フォーマルウェアなど好調だ。なお、コートは大体3.5万円~4.0万円(税込)で販売されており、決して安い価格帯ではないものの、ハイブランドと比べると極めて安い。
■ブランドソリューションとは?
クラシコムは「北欧、暮らしの道具店」以外では、D2Cブランド製品の立上げの経験を生かして、クライアントからのブランド構築サポートをおこなっている。たとえば、積水ハウスとワークショップをしてブランドディング活動をサポートしたり、カルビー、キリン、ハルメクなどさまざまな企業とコラボレーションをしている。
■クラシコムの財務状況は?
クラシコムの2023年1月31日時点の財務諸表をみると、現預金は38.8億円、在庫は3.5億円と在庫が非常に小さいのがポイントだ。有利子負債は約1.5億円と非常に小さく、財務はきわめて健全な水準となっている。
■クラシコムの株価推移は?
クラシコムの時価総額は約90億円。今期は配当の可能性もあり、株主への還元方法を公表している。簡単にいうと、基準以上のキャッシュがある場合は、当期の余剰キャッシュの約50%を還元するという仕組みだ。
クラシコムは設備投資も不要なEC主体のビジネスモデルであり、これから配当性向も非常に高くなると期待できる。まだ、「北欧、暮らしの道具店」の知名度はそれほど高くないため、知名度の向上とともに人気株となる可能性も十分ありえるだろう。
以 上