アフィリエイトのバリューコマース、成長鈍化なるもキャッシュ創出力は力強い!

 アフィリエイトやヤフーショッピングの検索広告(リスティング広告)の「StoreMatch」などを展開しているITサービス企業のバリューコマース。収益性は高いものの、成長性が落ちて、前年割れの業績がつづいている。バリューコマースの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2023年7月28日時点)

  • 株価:1,324円(10年来高値:5,290円)
  • 時価総額:456億円
  • 予想PER:13.3倍
  • PBR:2.05倍
  • 予想配当利回り:3.77%
  • 自己資本比率:78.1%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:5,203人(2022年12月31日時点)

■バリューコマースの業績は?

 バリューコマースの2023年12月期の第二四半期の売上高は148億円(前年同期比△19.1%減)、営業利益27.2億円(前年同期比△38.9%減)の減収減益。バリューコマースの売上総利益率は+34.3%(前年は+36.8%)、営業利益率は+18.4%(前年は+24.3%)と売上総利益率、営業利益率ともに悪化している。

 バリューコマースの販管費は前年の22.7億円→23.5億円と+0.8億円の増加、売上総利益は前年の67.2億円→50.7億円と△16.5億円の悪化となり、差し引きで営業利益は前年の44.5億円→27.2億円と△17.3億円の減少となった。

■バリューコマースの事業内容は?

 バリューコマースは大きく3つの事業をおこなっている。1つは、アフィリエイト事業。バリューコマースのメイン事業だ。2つ目は、「StoreMatch」というヤフーショッピングと連携した広告事業、3つ目は「STORE’s Rエイト」という事業。

 アフィリエイト事業は同業他社ではセレスなども実施しているもので、ブログ、アプリなどに広告サイトを作成したり、広告を貼って、ランディングページというところに集客してモノの販売につなげるもの。消費者がモノを購入することによって広告主から収益を得るもの。商材としては、美容、家電などが比率が大きい。

ポイントサイト「モッピー」、暗号資産取引所等を展開するセレス、業績の行方は?(2021年4月11日投稿)

 「StoreMatch」は、ヤフーショッピング上での広告サービスだ。ヤフーショッピングに出店しているテナント店舗が集客のために広告を出すもの。ショッピングモールへの展開とあるものの、専用のサイトをみるとヤフーショッピングに特化しているサービスに見える。

■バリューコマースの現状は?

 バリューコマースの業績をみると、アフィリエイト事業、StoreMatchともに売上高が減少している。いっぽうで、販管費は横ばいのため業績が悪化している。決算説明資料をみると、広告主の広告出稿方針の変更でマイナスの影響がつづいているとあり、アフィリエイトによる集客から別の方法に切り替えが世の中で起こっている可能性がある。同業他社のセレスも苦戦中だ。

■バリューコマースの財務状況は?

 バリューコマースの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は212億円、有形固定資産などはほぼない。負債はほぼなく、財務的には健全だ。

 バリューコマースのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+21.4億円、投資CFは無形資産の取得により△1.8億円、財務CFは配当金の支払い等で△9.4億円となっている。業績は悪化しているものの、利益をしっかり出しており、キャッシュが積み上がる利益モデルは継続中だ。

■バリューコマースの株価推移は?

 バリューコマースの時価総額は約450億円。2021年11月の高値から4分の1くらいまで株価は下落しており、ここ数年で購入した人は大きな含み損をかかえている状況だ。チャート的にはどこまで落ちるか不明であり、いま手を出す必要はないと思えるチャートとなっている。

 何か新規事業を起こさないと、新しいビジネスに代替されてしまう懸念があり、そのようなビジネスが見つかるかどうかにバリューコマースの将来がかかっている。または、企業買収で新規ビジネスを手に入れるかだ。

(画像1)バリューコマースの株価推移

以 上

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