入退室管理システム「Akerun」を展開しているフォトシンス(Photosynth)。最近では24時間ジムなど、さまざまなところで見かけることが増えてきたスマートロックカンパニー。従業員数は160名。将来的には自宅のカギはスマートロックに置き換わることが予想されるが、競合他社も少なくない。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
入退室管理システム「Akerun」のフォトシンス、売上規模がまだ小さい!(2023年5月28日投稿)
スマートロック「Akerun(アケルン)」のフォトシンス、成長の行方は?(2023年3月5日投稿)
■基本情報(2024年1月5日時点)
- 株価:440円(10年来高値:1,526円)
- 時価総額:68億円
- 予想PER:赤字
- PBR:3.4倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:56.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:7,942人(2022年12月31日時点)
■フォトシンスの業績は?
フォトシンスの2023年12月期の第三四半期の売上高は17.9億円(前年比+24.1%増)、営業利益△1.4億円(前年同期は△4.9億円の赤字)と増収赤字幅の縮小となった。フォトシンスの売上総利益率は+82.7%(前年は+88.9%)と高い。
フォトシンスの売上総利益は前年の12.9億円→14.8億円と+1.9億円の増加、販管費は前年の17.8億円→16.2億円と△1.5億円となり、差し引きで3.5億円の営業利益改善となった。「akerun」の導入台数増加に伴い、粗利が順調に伸びているのが良い傾向だ。また販管費の低下もよい。
■フォトシンスの事業状況は?
フォトシンスは企業や商店などを中心に「akerun」という入退室管理システムのスマートロックを提供している。また、メタップスペイメントの運営する「会費ペイ」とも連携し、月額会費の徴収もできる仕組みを構築している。
フォトシンスは広告費を年間で約4億円投入しており、若干去年よりも広告費を抑制気味である。現在の契約社数は5,296社となり、1年前にくらべて約450社ほど増加している。心配なのは成長速度がそれほど加速していない点だ。解約率は1.2%くらいまで下がっている。
■競合他社は?
入退室管理システムを提供している企業は少なくない。フォトシンスの競合他社は少なくない。入退室管理システムはICカード(社員証など)、暗証番号、スマホアプリ、生体認証(顔認証、指紋認証など)に分かれ、フォトシンスの「akerun」はスマホアプリに強みを出している。
ビットキーが運営している「bitlock PRO」は初期費用ゼロ、月額5,000円から工事不要で使えるもの。生体認証である顔認証もオプションで導入可能だ。
Qrio社の「カギカン」もスマートロック型のクラウド入退室管理システムを提供している。
「FreeiD(フリード)」は顔認証に特化したスマートロックを提供している。また、スマートロックだけではなく、顔認証決済システムとして未来型無人化店舗の実現を目指している。
■フォトシンスの株価推移は?
フォトシンスの時価総額は約68億円。上場来最安値から1年弱で株価は倍以上まで上昇したものの、そこから株価は大きく下落。業績が株価についてこなかったと言えるだろう。2023年12月期の業績予想は売上高24億円、営業利益は△4.3億円で、おそらく実績は予想を若干上回る結果になるだろう。
しかしながら、成長性の鈍化が予想より早く、売上高50億円、営業利益10億円くらいがイメージできないと、競合他社との過当競争に入る可能性がある。もう少し、成長性が伸びてくるか様子見が必要だ。
以 上