中古品の買取専門店の「なんぼや」などを展開し、販売専門店の「ALLU」やオークションで販売するサーキュラーエコノミーを構築しているバリュエンスホールディングス(以下、バリュエンス)。仕入環境の競争が激化し、仕入単価が上昇。その結果、売上総利益率が悪化し苦しい状況になっている2次流通マーケット。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
「なんぼや」運営のバリュエンスホールディングス、前年比+20%の成長つづく!(2023年11月4日投稿)
■基本情報(2024年5月24日時点)
- 株価:767円(10年来高値:5,620円)
- 時価総額:104億円
- 予想PER:ー(赤字予想)
- PBR:1.35倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:23.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,618人
- 事業価値:228億円
■バリュエンスの業績は?
バリュエンスの2024年8月期の第二四半期の売上高は394億円(前年比+17.2%増)、営業利益△10.5億円(前年同期は+5.1億円の黒字)の増収赤字転落となった。バリュエンスの売上総利益率は+22.4%(前年は+27.0%)、営業利益率は△2.6%(前年は+1.5%)。
バリュエンスの売上総利益は前年の90.8億円→88.4億円と△2.4億円の悪化、販管費は前年の85.8億円→98.9億円と+13.1億円の増加となり、営業利益は△15.5億円の悪化となった。
■バリュエンスの事業状況は?
バリュエンスはALLU心斎橋のオープンやインバンド需要などで売上高は上昇、また地金相場が高水準であり、売上高の金額規模自体は増え、前年同期比+17.2%増の売上高となった。いっぽうで、仕入競争環境は厳しく、仕入単価が上昇して、粗利率は27.3%→22.4%と大きく悪化。販管費も増えており、悪循環に陥っている。
仕入環境としては、バッグ中心に競争が激しい状況だ。2024年2月末時点で国内店舗数は135店舗、海外44店舗となっている。心配なのは、地金や時計など相場が急落したときに、バリュエンスは大きな逆ザヤとなり損失を計上する点だ。
■バリュエンスのオークション!
バリュエンスは「なんぼや」「BRAND CONCIER」などで顧客から仕入れるだけでなく、自社のオークションで販売している。「STAR BUYERS AUCTION」「THE EIGHT AUCTION」などで、時計などのブランド品や骨とう品、美術品などをオークション販売している。
「STAR BUYERS AUCTION」のオンライン時計オークションでは24時間365日出品受付が可能。入会費・年会費は無料、落札手数料5%、出品手数料550円となっている。バリュエンスの販路のなかでも自社オークションが全体の44.7%を占めており、仕入・販売の両方で強みを持つ企業となっている。
■同業他社は?
バリュエンスの競合となるのは、バイセル、コメ兵などの同じような中古品の仕入・販売の仕組みを持つ会社。バイセルの売上高は590億円、営業利益38億円、営業利益率+6.4%、時価総額は約460億円。コメ兵は売上高1,400億円、営業利益80億円、営業利益率+5.7%、時価総額約480億円。
出張買取を活用したリユース事業のBuySell Technologies(バイセル)、M&Aで成長!(2022年10月1日投稿)
バリュエンスは売上高813億円、営業利益△12億円、時価総額103億円となっている。バイセルと比較すると、バリュエンスの固定費が重く、粗利率が低い。バイセルは出張買取や宅配買取など固定費を抑える戦略を取っている。いっぽう、バリュエンスは「なんぼや」を中心に、積極的な店舗展開をしているので、コスト構造が大きく異なる。
■バリュエンスの財務状況は?
バリュエンスの2024年2月29日時点の財務諸表をみると、現預金は74億円、商品は92億円、有形固定資産41億円、無形資産23億円となっている。負債をみると、有利子負債が198億円と大きい。
キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは△41億円(前年同期は+3.8億円)と大きく悪化、投資CFは△12億円、財務CFは新規借入金などにより+44億円となっている。これから借入金利の上昇となると、さらに業績は悪化する可能性はある。
■バリュエンスの株価推移は?
バリュエンスの時価総額は約100億円。2020年12月の高値から5分の1くらいまで株価は下落している。上場来最安値圏に株価はある。いっぽうで、他社との比較すると、利益がでるようになれば株価は大きく急騰する可能性はある。
過去に1株あたりの当期純利益(EPS)が110円くらいの時もあり、予想PER10倍~15倍で計算すると、理論株価は1,100円~1,650円くらいとなる。ただ、株価はこのまま時価総額50億円くらいまで下がる可能性もあり、株価が上昇トレンドに入るまで様子見が無難だろう。
以 上