人材情報管理プラットフォームというタレントマネジメントシステムの「カオナビ」を提供しているカオナビ。プラスアルファ・コンサルティングは大手企業を中心に事業を展開していて、カオナビは中小企業をメインターゲットにしている。最近は非上場のsmartHRの成長性が高く、HRテックの人材マネジメントサービスのSaaSの競争が激化している。今後のカオナビの株価と業績の行方はどうなるのか?
人材管理プラットフォームのカオナビ、事業規模拡大も利益構造が見えない?(2022年6月12日投稿)
タレントマネージメントのカオナビ、人材データ管理による「見える化」や「人材活用」!(2022年1月10日投稿)
■基本情報(2024年5月31日時点)
- 株価:1,434円(10年来高値:7,330円)
- 時価総額:166億円
- 予想PER:18.4倍
- PBR:7.53倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:33.7%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,246人(2023年3月31日時点)
- 事業価値:124億円
■カオナビの業績は?
カオナビの2024年3月期の売上高は76億円(前年比+27.3%増)、営業利益6.8億円(前年は3.2億円)と増収増益となった。カオナビの売上総利益率は+77.4%、営業利益率は+8.9%。
■カオナビの事業状況は?
カオナビの従業員数は322名と前年から+39名の増加、1,000名以上の利用者のいる利用企業数は587社(前年同期は457社)と順調に増やしている。大手企業としては、トヨタ、三菱電機、LIXIL、ホンダ、ワコール、サントリー、森永乳業など。
カオナビの売上総利益率は70~79%くらいで推移している。いかに売上高を増やすかがポイントになる。ストック売上高比率は85%前後で推移している。広告宣伝費は年間で約11億円くらい投入している。
「kaonavi」の解約率(12カ月平均)は0.45%程度で推移している。1度導入してしまうと、なかなかシステムを解約することは難しいだろう。
■カオナビの財務状況は?
カオナビの2024年3月末の財務諸表をみると、現預金は49億円、のれん6億円となっている。負債をみると、有利子負債は4億円、前受収益は27億円となっている。自己資本比率が低く見えるものの、前受金の影響であり、財務的には健全だ。
カオナビのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+13.8億円、投資CFは△1.8億円、財務CFは+0.8億円。現預金は前年の34億円→47億円と+13億円の増加となった。利益構造的に、前受金を先に受け取るためキャッシュの循環がよい。
■カオナビの株価の行方は?
カオナビの時価総額は約170億円。現在は上場来最安値圏の株価となっている。カオナビはSaaS型で収益が安定しているものの、規模感がもう少しでないと利益が十分でないだろう。
競合であるプラスアルファコンサル(PAコンサル)は売上高140億円、営業利益48億円くらいの高い収益力を出していて成長性はそれほど変わらない。利益構造をみると、売上高は大きく異なるものの、カオナビとPAコンサルの販管費はほぼ変わらない(カオナビの売上高は約75億円)。
SaaS企業は成長性が落ちると、一気に株価が下落する可能性があり、ここからカオナビの成長性が落ちると、時価総額100億円を割る可能性もあるだろう。
以 上