総合スポーツクラブ「ルネサンス」を中心にフィットネス事業をおこなっているルネサンス。全国展開しており、スポーツクラブ136施設、リハビリ施設31施設など合計172施設を展開している。2020年度は緊急事態宣言により1年間で会員数は約7万人減少(20年3月末:40.4万人 →21年3月末:33.1万人)。ルネサンスの業績と株価はどうなるのか?
「女性だけの30分フィットネス」展開のカーブス!プロテイン販売で経営を支える(2021年4月29日投稿)
24時間マシンジム特化の「エニタイムフィットネス」、Fast Fitness Japanの業績と株価の行方は?(2021年4月18日投稿)
■基本情報(2021年5月21日時点)
- 株価:1,214円(10年来高値:2,638円)
- 時価総額:260億円
- 予想PER:57.3倍
- PBR:2.3倍
- 予想配当利回り:0.49%
- 自己資本比率:23.9%
- 会計基準:日本基準
■ルネサンスの業績は?
ルネサンスの2021年3月期の売上高は302億円(前年比△32.9%減)、営業利益△46.0億円(前年は+32.7億円の黒字)と大幅な減収と赤字転落となった。ルネサンスの売上総利益率は△7.5%(前年は+13.2%)と売上総利益自体も赤字となってしまった。ルネサンスの財務諸表では店舗で発生する原価を売上原価に計上しているため、売上高の大幅減により売上総利益が赤字になってしまったものと思われる。
同業他社のセントラルスポーツは、なんとか営業黒字で着地していることを考えると、ルネサンスの大幅なマイナスの要因は何なのだろうか?
■ルネサンスのコロナ禍の取り組みは?
ルネサンスは2020年6月よりオンラインレッスン「ルネサンス オンライン ライブストリーム」を開始。全国の人気インストラクターのレッスンが自宅でも受講できるというもの。ルネサンスは意外にも2020年度は積極的に12店舗(業務受託など含む)を出店している。いっぽう退店(撤退)は9店舗となっている。
ルネサンスは20施設で24時間営業をスタート。ここ数年は、ファストフィットネスジャパンが「エニタイムフィットネス」など駅前などで24時間形態のフィットネスジムを展開し若者を中心に会員を集めている。セントラルスポーツ・ルネサンスも24時間形態の方向に舵をきりだした。その背景にはスポーツクラブ会員の高齢化だ。ルネサンスの会員の56.9%は50歳代以上になっている。5年前の50歳代以上の割合は48.9%だったため、毎年、クラブ会員の高齢化がどんどん進んでいる。
■ルネサンスの売上内訳は?
ルネサンスの全体の売上高は約300億円。そのうち、90%以上はスポーツ施設(フィットネスクラブ、スクール、その他)での売上となっている。そのうち、フィットネスクラブの売上比率は45.1%、スイミングスクールなどのスクール部門は35.9%を占めている。ショップ部門の売上高はたった2.3%にとどまる。
「女性だけの30分フィットネス」で有名なカーブスでは売上高の約6割はプロテインなどの会員向け物販が占めている。そのため、カーブスの売上高はルネサンスほど落ち込んでおらず、営業利益も黒字をなんとか維持している。
■ルネサンスの株価の行方は?
ルネサンスの時価総額は約260億円。競合他社のセントラルスポーツも約280億円と同レベルまで落ち込んでいる。いっぽう、24時間フィットネスの「エニタイムフィットネス」を展開しているファストフィットネスジャパン(売上高:約110億円)は時価総額900億円で上場来最高値圏となっている。カーブス(売上高:約240億円)も時価総額820億円とそれほど下落していない。
今回、新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言などによる会員減が減収の大きな要因であるが、ルネサンスにとってクラブ会員の高齢化や新しい業態へのチャレンジなどこれまで注目されていなかった課題が浮き彫りになり、業績に反映された形だ。個人的に総合スポーツクラブに通っているが、高齢者の割合が高まり、スポーツクラブに若い活気がなくなっている。定年退職した高齢者はほぼ毎日スポーツクラブに通うため、光熱費などの維持費も多くかかっていると思われる。
ルネサンスに今できることは、プロテインなどの定期購入などによる安定収益の確保と拡大。クラブ会員は毎日スポーツクラブに通うため、販促の機会は少なくない。健康食品や美容などの分野で提携できる企業も少なくないのではないだろうか。セントラルスポーツでは定期的にMTGなどが販促に来ているが、スポーツクラブ自体が本気で販促に取り掛かるチャンスかもしれない。
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以 上