貸会議室から貸オフィスに展開のTKP、リージャス、アパホテル(FC)も!

 新型コロナウイルスの感染拡大の結果、リモートワーク・リモート会議が浸透。その結果、時間貸会議室の需要が大きく減少して業績に大きなマイナス影響が生じているTKP(ティーケーピー)。TKPは時間貸会議室から貸しオフィスに会議室を展開して、事業の再浮上を模索している。グループとしてはリージャス(Regus)やアパホテルのフランチャイズを経営している。

■基本情報(2022年1月8日時点)

  • 株価:1,282円(10年来高値:5,920円)
  • 時価総額:540億円
  • 予想PER:赤字予想
  • PBR:1.41倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:34.6%
  • 会計基準:日本基準

■TKPの業績は?

 TKPの2022年2月期の第二四半期の売上高は220億円(前年同期比+6.9%増)、営業利益△5.0億円(前年同期は△20.1億円の赤字)と増収赤字縮小となった。TKPの売上総利益率は+28.6%(前年同期は+24.6%)と改善傾向となっている。

 新型コロナウイルスに対するワクチンセンターなどの運営を行っており、新型コロナウイルスに対する特別な対応による収益を上げることで、貸会議室やオフィスのマイナスを少しずつカバーしている状態だ。売上総利益額が増加して、販管費を抑えることで営業損失を圧縮することができた。

■TKP単体は四半期黒字化に!

 TKPのビジネスは、これまでの時間貸会議室を中心としたビジネスをおこなうTKP単体事業、2019年に買収したリージャス日本事業、そして、APAホテルのフランチャイズ経営の3つを大きな柱に事業を行っている。

 TKP単体自体は2022年2月期の第二四半期で四半期黒字を達成。売上総利益率が+31.0%と前年同期から+10.8ポイントも改善している。コロナ禍でオフィス賃料の減額などを交渉した結果と思われる。TKP単体の施設は合計241施設(2021年2月末は251施設、2020年2月末は261施設)。コロナ禍で施設は戦略的に縮小している。

■苦戦するリージャス!

 いっぽう、リージャスは苦戦している。TKP単体とは反して、売上総利益率は+33.8%→26.7%と△7.2ポイントの悪化。それに伴い、四半期で営業損失に陥っている。大口顧客のオフィス解約などが響いている様子だ。

 リージャスは日本と台湾のビジネスをしており、日本で167施設、台湾で14施設となっている。リージャスはコロナ禍においても施設数・面積を増加させており、2020年2月末に比べて10%以上増加させている。いっぽうで、売上高は伸びず、コスト増により売上総利益率が悪化したという流れだ。

■TKPの株価推移は?

 TKPの時価総額は約550億円。TKPは売上高440億円、EBITDA36億円という企業規模。新型コロナウイルスが拡大する前まではオフィス賃料も年々高騰し、安値で仕入れたオフィスを高値で賃貸できるプラス面のビジネス環境であった。しかしながら、いまは高値で仕入れた長い契約のオフィスを、安値でもいかに貸し出していくか、TKPは悩ましい選択をしている状況だ。まだまだTKPの苦悩はつづきそうだ。

 時間貸しスペースでは、スペースマーケットも苦戦している。スペースマーケットは事業では苦戦しているものの、株価は約100億円を維持している。年間売上高12億円、利益ほぼゼロでありながら、時価総額100億円を維持するのは意外な感じだ。

シェアリングスペースのスペースマーケット!15分単位で貸し借りできるスペース事業(2021年1月24日投稿)

(画像1)TKPの株価推移

以 上

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