ファブレスメーカーのバルミューダ、高い利益率は維持できるか!?

 電気ケトル、加湿器、扇風機、コーヒーメーカーなどシンプルなデザインでファンを魅了している家電メーカーのバルミューダ。高価格帯に特化して高所得層をターゲットに展開しているビジネスモデル。売上高は過去最高であるものの、利益率は悪化傾向がつづいている。原材料の高騰などバルミューダはどのように課題に取り組んでいくのか?

独創的な家電メーカーのバルミューダ、富裕層中心にハイブランド価値を提供!(2021年7月23日投稿)

■基本情報(2022年2月10日時点)

  • 株価:3,320円(上場来高値:10,610円)
  • 時価総額:276億円
  • 予想PER:29.6倍
  • PBR:4.98倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:57.8%
  • 会計基準:日本基準

■バルミューダの業績は?

 バルミューダの2021年12月期の売上高は184億円(前年比+46.0%増)、営業利益15.2億円(前年比+15.3%増)の増収増益。バルミューダの売上総利益率は+39.8%(前年は+43.3%)、営業利益率は+8.3%(前年は+10.5%)と悪化傾向となっている。

 バルミューダはハイブランドとして高価格帯で売り出しているため、もう少し売上総利益率が良いと思っていたものの、それほど利益率が高いわけではない。ファブレスメーカーであるため、自社でそれほど原価低減(コスト低減)を実行することができないため、同じ製品を製造するならば、中小メーカーのほうがコスト競争力はあるだろう。

■バルミューダの売上総利益率推移は?

 バルミューダの売上総利益率を推移でみると、+42%(20年1Q)、+43.4%(20年3Q)、+42.3%(21年1Q)、+36.1%(21年3Q)と悪化傾向がつづいている。円安による海外原材料の高騰や電子部品を中心とした価格高騰が売上総利益率の悪化につながっていると思われる。

 バルミューダの販管費は58億円(前年は41億円)。大口の内容としては、人件費12.8億円、広告宣伝費6.5億円、試験研究費11.4億円(その内、8.4億円は携帯端末)となっている。広告宣伝費が意外にも少ないことと、携帯端末の投資がなければ、利益率はもう少し改善していた可能性は高い。

■2022年12月の業績予想は失望か!?

 決算発表と同時に2022年12月期の業績予想を発表。その業績予想は、売上高184.1億円(前年比+0.2%増)、営業利益8.0億円(前年比△47.3%減)、営業利益率+4.3%(前年は+8.3%)と大きく悪化する予想となった。

 人件費が2021年12月期に12.8億円だったものが、15.6億円に+21.4%増となっていることとと、電子部品を中心とした材料費高騰で原価率が悪化することが前年比マイナスの大きな要因だ。普通に考えると、株価は大きく下方向に調整すると思われる。決算発表後のPTS(私設取引所)では終値から△10%以上の株価下落となっている。

■バルミューダの株価推移は?

 バルミューダの時価総額は約280億円。成長がつづいている銘柄であれば、株価指標的に高くないものの、前年比マイナスの業績予想となり、割高感が感じられる。もしかすると、ここから半値くらいまで調整する可能性もあるので注意が必要だ。

 バルミューダはハイブランドで高所得層をターゲットにビジネス展開。電気ケトルは1.4万円、加湿器は4.1万円、スチームオーブントースターは4.0万円とパナソニック、日立、山善などの商品の3~5倍の価格帯で販売している。携帯端末の失敗もあり、熱烈なファンが離れないか心配がある。

 顧客が離れていくと、おそらく値段を落とした価格競争に巻き込まれる可能性があり、そうなるとバルミューダの家電ブランドの価値が落ちかねない。今後は成長期待よりも、リスクの発生による株価下落に注意が必要になるかもしれない。

(画像1)バルミューダの株価推移、下落がつづいている

以 上

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