障がい者の法定雇用率は上昇、LITALICO(りたりこ)のビジネスチャンス増に!

 障がい者支援を中心に就労支援、発達障がいの成長支援など関連ビジネスを幅広く手掛けるLITALICO(りたりこ)。障害福祉サービスの予算は1.5兆円を突破し、2007年から比べると3倍くらいに増加。障がい者の法定雇用率も改善(上昇)傾向であり、社会のニーズにマッチした成長事業をおこなっている。LITALICOの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年8月18日時点)

  • 株価:3,100円(10年来高値:4,575円)
  • 時価総額:1,100億円
  • 予想PER:75.9倍
  • PBR:18.82倍
  • 予想配当利回り:0.16%
  • 自己資本比率:40.5%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,278人(2022年3月31日時点)

■LITALICOの業績は?

 LITALICOの2023年3月期の第一四半期の売上高は56.7億円(前年同期比+22.1%増)、営業利益7.0億円(前年同期比+76.6%増)の増収増益。LITALICOの売上総利益率は+39.2%(前年同期は+37.1%)、営業利益率は+12.4%(前年同期は+8.6%)と改善している。

 LITALICOの売上総利益は22.2億円(前年は17.2億円)で、販売管理費は15.2億円(前年は13.2億円)と前年比+2億円増加したものの、売上総利益が+5億円増加したため営業利益は約2億円の増となった。LITALICOの業績は堅調で、成長市場でしっかり伸びていることを確認できる決算だった。

■LITALICOの事業内容は?

 LITALICOの事業内容は、①ワークス事業、②ジュニア事業、③プラットフォーム事業、④その他、の4つのセグメントをもっている。

 ①ワーク事業の売上高は23.4億円、利益8.7億円。この事業は障がい者就労支援で全国に109拠点を持っている。2023年3月期は更に+15拠点の出店を計画中だ。年間売上高は95億円を計画しており、去年は85.6億円の実績。上場している競合他社としてはウェルビーが該当する。

障がい者就労支援のウェルビー(welbe)、報酬改定あり業績にプラス!課題は5-ALA!(2022年8月6日投稿)

 ②ジュニア事業の売上高は18.2億円、利益2.9億円。発達障がい児のサポートが主な内容だ。全国に117拠点あり、今期は+15拠点を出店予定。年間売上高は79億円を計画しており、去年の実績は67.3億円だ。

 ③プラットフォーム事業の売上高は7.9億円(前年同期比+84.6%増)、利益2.6億円(前年同期比+4.1倍)と大きく成長している。LITALICOキャリアなど人材紹介などの福祉サービス領域のマッチングサービスなどを提供している成長事業だ。今年は年間売上高33億円を目指している(去年は18.4億円)。

■LITALICOの事業とは?つまり?

 LITALICOの事業は障がい者や福祉などの領域のサービスを提供すること。これまでの社会福祉サービスはそれほど利益がでないというイメージであったが、LITALICOはしっかり利益を稼ぎながら経営感覚でサービスを広げていることが特徴だ。今後も障害福祉施設、学校・保育園、介護施設の領域でのサービスを広げていく考えだ。

 プラットフォーム事業を強化するためにエンジニアやデザイナーを積極的に採用しており、100名以上の陣容になる予定。転職者はリクルート、エムスリー、マッキンゼー、エス・エム・エス、グリー、IBM、Sansan、DeNAなど有名IT企業からも移っている。

■障がい者を取り巻く環境は?

 障がい者数は2001年~2016年までで約1.6倍に増加。そのようななか、学校では特別支援学級などをが増加傾向。障がい者雇用数は精神障がい者を中心に増加しており、直近10年で精神障がい者の雇用は6.8倍に増加。障がい者の法定雇用率は継続的に上昇しており、企業・機関はそれに対応が必要だ。

 障がい福祉サービスに関連する国・地方公共団体の予算は1.5兆円を突破し、LITALICOの市場は大きく増加している。LITALICOの報酬の約9割は国民健康保険や団体連合保険などから支払われ、利用者の負担は1割のみ。利用者は1割のみの負担のため、お金がなくて通えないというケースは少ない。

■LITALICOの財務状況は?

 LITALICOの自己資本比率は40.5%と健全ではあるものの、それほど高いわけではない。現預金は17.6億円、投資有価証券を11.4億円もっている。有利子負債は約65億円あり、予想外に負債が多いイメージだ。

 その理由を考えると、多くの拠点を持ち、建物附属設備などの有形固定資産を23億円もっており、のれんを22億円もっているからだ。おそらく、過去に買収した企業の純資産と買収金額との差額が22億円発生していると思われる。なお、資本金と資本剰余金は合計して10億円くらいしかなく、これまでの利益の蓄積である利益剰余金を49億円計上している。

■LITALICOの株価の行方は?

 LITALICOの時価総額は約1,100億円。予想PERは75倍ほどで前年比+20%超で成長しているため、それほど割高とも言えない。ただ、現時点の売上高240億円、営業利益31億円という規模感では割高感を感じてしまう。成長鈍化がみられた場合は、ここから半値以下まで売られる可能性もあるだろう。

 いっぽうで、競合他社のウェルビーがヘルスケア事業で失敗して巨額の損失を出しており、LITALICOにとってはチャンスかもしれない。障がい者福祉の分野は成長市場であり、ほかの産業にくらべると競争が甘いのかもしれない。まずは上場来高値の4,600円を意識して、株価は上昇していくのではないだろうか。これを突破すると、どこまで上昇するかは勢い次第だ。

 事業内容は少し異なる障がい者雇用率改善サポートのエスプールも、売上高288億円、営業利益32億円と規模感はLITALICOとそれほど変わらないものの、時価総額は860億円と大きい。しかも、LITALICOより割安だ。障がい者雇用支援は社会的に絶対に必要とされる領域であり、機関投資家なども投資しやすいのかもしれない。

営業利益率10%超のエスプール、障がい者雇用支援の強い!(2022年8月7日投稿)

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