英語教育、インターナショナルスクール、法人研修、大学院大学などを展開しているビジネス・ブレークスルー(以下、BBT)。経営コンサルタントの大前研一氏が学長であり会長であることで有名な企業であるものの、株価はさえない。従業員数は475名。売上規模はコロナ禍でも堅調に伸びている。
■基本情報(2022年10月21日時点)
- 株価:401円(10年来高値:1,168円)
- 時価総額:57億円
- 予想PER:6.4倍
- PBR:1.32倍
- 予想配当利回り:2.74%
- 自己資本比率:47.0%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:3,094人(2022年3月31日時点)
■BBTの業績は?
BBTの2023年3月期の第一四半期の売上高は16.9億円(前年同期比+11.1%増)、営業利益10百万円(前年同期比△67.5%減)の増収減益。BBTの売上総利益率は+41.2%(前年同期は+44.4%)。
BBTの売上総利益は7.0億円(前年同期は6.8億円)と伸びは小さく、いっぽう、販管費は6.5億円→6.9億円と+0.4億円の増となっている。BBTはIRにそれほど積極的ではないのか、決算説明資料もあまり作成していない。2022年6月に作成した中期経営計画が事業状況の現状と今後を理解するのに参考になるだろう。
■BBTの事業内容は?
BBTは「世界で活躍するリーダーの育成」をミッションにかかげて、社会人教育や大学院の開設をして、しかも上場して利益を出している。現在は幼少期~ビジネスパーソンまでを対象にするビジネスモデルを構築している。いわゆる、生涯教育のプラットフォームの構築だ。
2025年3月期には、売上高100億円、営業利益10.5億円を計画している。PER20倍で計算すると、時価総額は140億円前後になるかもしれない(現在の時価総額は約60億円)。
2025年3月期の事業規模は、University事業系が14.2億円、法人向け事業が22.2億円、英語教育系が12.7億円、インターナショナルスクール系が45.0億円、ITマネジメント系が10.0億円となっている。BBTの事業規模の約半分はインターナショナルスクールが支えている。
■BBTのインターナショナルスクール
BBTの事業内容は多岐にわたるため、事業内容をしっかり理解している人は多くないだろう。日本ではアオバジャパン・バイリンガルプリスクール(目黒校、光が丘校、晴海校、芝浦校、早稲田校、三鷹校、中野校、下目黒校)、サマーヒル・インターナショナルスクール(東京・港区)、ムサシインターナショナルスクール(東京・三鷹市)などを展開している。ただ、幼児教育がメインだ。
上記のインターナショナルスクールのうち、高校の卒業生はアメリカ、オーストラリア、カナダなどの英語圏への大学に進学したり、慶応義塾大学、早稲田大学、立命館アジア太平洋大学に進学したりしている。
■BBTの財務状況は?
BBTの2022年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は20.1億円、有形固定資産を40.6億円計上している。のれんも16.1億円計上。授業料の前受金である契約負債は23.9億円、有利子負債は約15億円となっている。BBTはオンライン教育でスタートしたものの、インターナショナルスクールなどリアルな校舎などを持っており有形固定資産の負担は小さくない。
2018年~2022年までの財務諸表をみると、営業CFは安定的に黒字であり、利益はしっかりでている企業。営業CF>経常利益の傾向がつづいており、その差額を償却費と考えると、設備投資の高い企業と考えることもできる。オンライン専業であれば、規模の拡大とともに爆発的に利益がでるケースがあるものの、BBTはリアル事業の部分も小さくない。
■ BBTの株価推移は?
BBTの時価総額は約60億円。株価は割安であるものの、新規上場とくらべて老舗感のある銘柄になってしまった。目新しさがなく、株主数は2,000~3,500名で推移しており、増えていない。オンライン教育など先進的な事業をしているものの、あまり話題になることも少なくなってきたような気がする。ただ、安定的に成長している企業であり、長期保有で考えると面白い銘柄かもしれない。どこかで株価は急騰すると期待したい。
英語、インターナショナルスクール、社会人教育などやっていることは面白いものの、レアジョブ、プログリットなど新しい企業に注目度が奪われている。たしかに、IRもあまり力をいれておらず、決算説明資料も毎回作成しているわけではない。
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以 上