ソニー不動産として立ち上がり、不動産のAI査定などテクノロジーで不動産テックを提供するSREホールディングス。不動産仲介会社から不動産テック企業に生まれ変わり、増収増益をつづけている。従業員数は279人。ソニーグループ37%出資。今後の業績と株価の行方は?
SREホールディングス(旧ソニー不動産)、AIと不動産テックで事業成長!(2021年6月20日投稿)
■基本情報(2023年2月3日時点)
- 株価:3,395円(10年来高値:10,270円)
- 時価総額:548億円
- 予想PER:58.9倍
- PBR:5.15倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:45.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:4,898人(2022年3月31日時点)
■SREホールディングスの業績は?
SREホールディングスの2023年3月期の第三四半期の売上高は102億円(前年同期比+38.8%増)、営業利益10.7億円(前年同期比+9.2%増)の増収増益。SREホールディングスの売上総利益率は+38.1%(前年は+38.9%)、営業利益率は+10.4%(前年は+13.3%)と営業利益率は2ケタを維持したものの、利益率が悪化している。
SREホールディングスの売上総利益は38.9億円(前年は28.6億円)と+10億円の増益であるものの、販管費が28.2億円と前年の18.9億円から約10億円の増加となり、売上総利益の増加を相殺している。決算説明資料を見るかぎり、この販管費の大幅増の理由説明はない。よって、妥当な先行投資であるのか、ほかの要因であるのか判断できないのが現状だ。
■SREホールディングスの事業状況は?
SREホールディングスは、AIクラウド・コンサル事業と不動産テック事業の2つを実施している。営業利益はAIクラウド・コンサル事業が全体の約6割を稼いでいる。
AIクラウド・コンサル事業は、不動産仲介業者向けの不動産相場のAI査定、契約重説などをクラウドサービスで提供している(サブスクリプションモデル)。もう一つは、不動産・金融業界向けのAIコンサルティングだ。
不動産テックは、不動産売買やアセットマネジメントのコンサル。また、収益不動産などのオフバランス化など金融テック的なサービスを提供している。
■SREホールディングスはテクノロジー企業!
SREホールディングスは、当初はソニー不動産としてスタートして、新しい不動産仲介会社としてスタートしたものの、いまは全く当初と中身が異なる企業になっている。IT企業でありAI企業である。テクノロジーの力をつかって、高付加価値なサービスを提供する企業。
不動産仲介会社向けの課金契約企業は2,714社まで増加。2023年3月末に3,000社の契約を目指している。月次解約率は0.7%と低く、安定的にお金を稼ぐ仕組みが出来上がっている。
SREホールディングスの2023年3月期の業績予想は、売上高163億円(前年比+20.1%増)、営業利益16.5億円(前年比+18.5%増)と堅調な成長と収益性となっている。販管費を上手くコントロールすれば、しっかり業績達成できるだろう。
■SREホールディングスの財務状況は?
SREホールディングスの2022年12月31日時点の財務状況は、現預金28.7億円、棚卸資産156億円と棚卸資産が大きい。有利子負債は約110億円となっており、財務的には健全であるものの、AI企業のバランスシートではないことは間違いない。
SREホールディングスの決算説明資料だけではわかりにくいが、収益不動産を活用した資産運用事業を行っており、SREホールディングス自体で販売用の投資物件を保有していると思われる。私募ファンド(オフバランスビークル)を活用した複雑なスキームを活用しており、素人にはSREホールディングスの事業内容が見えないのではないだろうか。
■SREホールディングスの株価は?
SREホールディングスの時価総額は約550億円。一時は時価総額1,100億円を超えており、1年ちょっとで株価は半値以下まで下落している。2022年3月にZホールディングスの保有株売出しと約15億円の公募増資をしており、その影響により株の需給バランスが大きく崩れている。
また、気になるのはSREホールディングスの事業内容。棚卸資産として約150億円を抱えており、私募ファンドの活用など見えない部分が多い。SREホールディングスの売上総利益率はAI企業らしくなく、売上総利益率は40%を割っている。不動産事業が大きく影響しているのだろう。中身がわからないと想定外のことが起こるリスクがあり、投資には慎重に判断する必要がありそうだ。
以 上