東海地区を中心に中古車販売を展開しているネクステージ。コロナ禍で中古車の販売単価が増加し、業績が絶好調だったものの、相場が下落に転じてマイナス影響が大きく出ている。ネクステージだけでなく、同業他社も同様の状況だ。今後の業績と株価はどうなるのか?
中古車販売大手のネクステージ(3186)、規模拡大も営業利益は急減!株価の行方は?(2020年6月21日投稿)
■基本情報(2023年4月7日時点)
- 株価:2,215円(10年来高値:3,360円)
- 時価総額:1,789億円
- 予想PER:10.2倍
- PBR:3.16倍
- 予想配当利回り:1.44%
- 自己資本比率:37.6%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:6,117人(2022年11月30日時点)
■ネクステージの業績は?
ネクステージの2023年11月期の第一四半期の売上は1,179億円(前年同期比+44.7%増)、営業利益は17.7億円(前年同期比△59.6%減)の増収減益。ネクステージの売上総利益率は+15.0%(前年同期は+19.3%)、営業利益率+1.5%(前年同期は+5.4%)と悪化している。
ネクステージの売上総利益は前年の157億円→177億円と+20億円増加したものの、販管費は前年の113億円→159億円と+46億円の増加となり、差し引きで営業利益は大幅に悪化した。ネクステージの決算説明資料をみると、中古車価格の相場が下落傾向にあり、高値で仕入れた在庫を安値で販売せざる得なくなり、損益に大きくマイナスとなっている。
これはネクステージだけでなく、同業他社も同様だ。同業他社のグッドスピードも急激に損益が悪化している。
SUVに力を入れた中古自動車販売のグッドスピード、赤字からの脱却は?(2023年2月23日投稿)
■ネクステージの事業状況は?
ネクステージは決算説明資料で主要KPIなど詳細な情報を開示している。たとえば、今回の第一四半期では、販売台数は前年の2.5万台→3.5万台に大きく増加。買取台数は3.1万台→4.3万台に+39.4%増、車検台数は2.1万台→2.7万台と+30%増、収入保険料は38.5億円→46.6億円と+21.2%増となった。
表面的には業績好調に見えるものの、売上総利益率が前年の17.7%→15.0%に大きく下落。販売している商品構成が低単価中心の構成になったことと、滞留在庫処分の影響で1台あたりの利益が大きく悪化している。車両単価がコロナでバブル的に上昇していたのが、コロナ前に戻った形だ。
■ネクステージの財務状況は?
決算説明資料をみると、中古車の販売価格下落の影響により業績は一気に悪化。しかしながら、まだ利益を出している段階であり、財務状況からみるとネクステージの状況はどうなっているだろうか?
ネクステージの2023年2月28日時点の財務諸表をみると、現預金は188億円(2022年11月末:198億円)、在庫は575億円(同:725億円)。いっぽう、有利子負債は652億円(同:763億円)と約110億円を減少させている。これから借入金利が上昇することを意識してか有利子負債を積極的に返済している構造が見える。
ネクステージは販管費で年間400億円以上の負担になるため、販売が悪化すると一気に財務状況が悪くなる可能性がある点に注意が必要だ。かなりレバレッジをかけて事業をしているイメージだ。
■ネクステージの株価推移は?
ネクステージの時価総額は約1,800億円。2023年11月期の計画として、第二四半期で売上高2,340億円、営業利益112億円、年度で売上高5,000億円、営業利益250億円をかかげている。しかしながら、第一四半期の営業利益は18億円にとどまる。
中古車の価格下落はもしかしたら、これからもっと下落する可能性もあり、営業利益が赤字になる可能性もあるだろう。まだ株価は高い状況であり、ここから株価は半値くらいまで下落するリスクがあることに留意が必要だ。ネクステージの株価チャートをみると、ようやく株価が下落しはじめたに過ぎない。まだまだ株価調整は続きそうだ。
以 上