動画ソリューションのJストリーム、成長鈍化も利益構造は盤石、株価の浮上はいつか?

 医薬関連を中心に動画ソリューションを提供しているJストリーム。コロナ禍で医療DX需要の創出など急激な成長を見せたJストリーム。アフターコロナとなり特需が落ち着き、安定した収益をあげるようになっているものの、株価は大きく下落している。今後のJストリームの業績と株価の行方はどうなるのか?

動画配信ソリューションのJストリーム、コロナ禍で需要拡大も医薬関連は前年比減!(2022年11月5日投稿)

医薬医療向けに強い動画配信サービスのJストリーム、セミナーからライブ配信まで!(2020年12月20日投稿)

■基本情報(2023年4月28日時点)

  • 株価:535円(10年来高値:3,420円)
  • 時価総額:150億円
  • 予想PER:12.7倍
  • PBR:1.26倍
  • 予想配当利回り:2.99%
  • 自己資本比率:81.1%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:11,062人(2022年3月末時点)

■Jストリームの業績は?

 Jストリームの2023年3月期の売上高は125億円(前年比+0.7%増)、営業利益16.6億円(前年は20.5億円)と増収減益。Jストリームの売上総利益率は+39.9%(前年は+42.8%)、営業利益率は+13.1%(前年は+16.6%)と悪化傾向。Jストリームの売上総利益は前年53.1億円→49.9億円と△3.2億円の悪化。販管費は32.6億円→33.2億円と△0.6億円の増となり、差し引きで営業利益は20.5億円→16.6億円となった。

 営業利益率が+10%を超えており、優良企業であるものの、ここ数年の株価の急騰からの反動により、業績の実態以上に株価の下落が目立つ。株主がコロナ前から倍増しており、現状は株主が増えるような状況でないため、なかなか株価が上がらない状況がつづいている。

■開示に積極的なJストリーム

 業績面の開示でJストリーム以上に開示に積極的な企業はなかなかない。売上原価、販管費ともに項目別に内訳を前年比で開示しており、Jストリームの現在の状況を理解することができる。

 売上原価は業務委託料が増加している点などが売上総利益率悪化の要因であることがわかる。販管費はほぼ前年並みであるものの、人件費が前年比でマイナスであり、給与増は抑制気味であることが推測できる。Jストリームの平均年収は37.1歳平均で531万円と低いわけではないものの、それほど高い水準でもない。そもそも、コロナ前までは、業績がそれほどよい企業ではなかった。

■医薬が柱であることは変わらない!

 Jストリームは医薬関係のWebセミナー(ウェビナー)がメインであることは変わらない。病院ではMR(医薬営業員)の来院を抑制する傾向になり、医師向けにはWebセミナーで新しい薬の紹介などをするようにシフトチェンジしており、医薬業界ではWebセミナーが一般的になっている。なお、ウェビナーはZoomやWebexなどのデジタルツールを活用したリモートセミナーをウェビナーという。

 しかしながら、医薬関係でもエムスリーやケアネットなど医薬関係のデジタルマーケティングをサポートする企業も少なくなく、競合他社は多い。

医療関連サービスのエムスリー、業績にプラス作用するコロナ禍(COVID-19)(2021年1月18日投稿)

医薬DXで成長するケアネット、製薬業界は「人」から「DX」に!(2022年2月12日投稿)

■2023年度の業績予想は?

 Jストリームの2023年度の業績予想は売上高133億円(前年比+6.5%増)、営業利益16.7億円(前年比+0.1%増)と利益面はほぼ横ばいを見通す。Jストリームはマーケット分析も決算資料に掲載しており、製薬企業の販促費はそれほど伸びることがないと分析、また、競合他社が増えることを想定しており、妥当な業績見通しと言える。

 Jストリームはコンテンツの企画・制作、管理システムとのデータ連携など広範囲で企業のデジタルマーケティングをサポートできるのが強み。当面の業績は安定して推移すると思われる。

■Jストリームの財務状況は?

 Jストリームの2023年3月末時点の財務状況をみると、現預金は50.5億円、預け金28億円と現預金は約80億円。ソフトウェアは12.2億円計上されている。有利子負債はゼロのため、ネット現預金として約80億円を保有しており、現在の時価総額150億円であることを考えると、事業価値は70億円にとどまる。

 Jストリームのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは18.0億円のプラス、投資CFは△7.5億円、財務CFは△5.0億円と現預金は+5.6億円の増加となっている。

■Jストリームの株価推移は?

 Jストリームの時価総額は約150億円。営業CFを年間18億円稼げる企業であるものの、株価チャートをみてわかるように、高値でつかんだ株主が株価上昇を抑えている状況だ。どこかでタイミングがくれば、緩やかに上昇していくと思われるものの、1年以内に上昇するのか、数年間は横ばいなのか誰にもわからない。

(画像1)Jストリームの株価推移

以 上

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