SaaS型ECサイトの「future shop(フューチャーショップ)」や在庫管理システムを提供する「SOFTEL(ソフテル)」を提供しているコマースOneホールディングス(以下、コマースOne)。株価は下落基調であり、業績も停滞気味。割安感はあるものの、成長鈍化のため投資しにくいポジションとなっている。今後のコマースOneの株価と業績はどうなるのか?
EC支援サービス展開のコマースOneホールディングス(コマースワン)、成長鈍化か!?(2022年8月14日投稿)
■基本情報(2023年6月30日時点)
- 株価:665円(10年来高値:4,635円)
- 時価総額:50億円
- 予想PER:14.2倍
- PBR:1.82倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:74.6%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,295人(2023年3月末時点)
■コマースOneの業績は?
コマースOneの2023年3月期の売上高は32億円(前年比+8.7%増)、営業利益5.8億円(前年比△14.2%減)の増収減益。コマースOneの売上総利益率は+56.4%(前年は+57.9%)、営業利益率は+18.1%(前年は+23.0%)と利益率が悪化している。
コマースOneの売上総利益は前年17.0億円→18.0億円と+1.0億円の増加、販管費は前年10.3億円→12.2億円と+1.9億円の費用増により、差し引きで△0.9億円の営業利益マイナスとなっている。
販管費の増加は、人件費△1.2億円が最も大きいが、広告宣伝費、地代家賃(東京オフィスの拡張)、SAMURAI TECHNOLOGYや空色の株式取得関連費用による増加がある。コマースOneの人員は2023年3月末時点で連結ベースで182名となっている。なお、2022年3月末は142名、2021年3月末は129名であり、この1年で大きく人員は増加している(連結子会社の増加による影響が大きいと思われる)。
■コマースOneのKPIを見る!
コマースOneのKPIをみると、たとえば、契約店舗数は2,918店舗となっており、それらのGMV(流通総額)は1,930億円となっている。GMVは堅調に増加しているものの、契約店舗数はコロナ禍が落ち着いてからほぼ横ばいとなっている。この契約店舗数が伸びてくると、コマースOneの業績は改善するはずであり、もっとも重要なKPIと考える。
世の中でECが一般的になったものの、リアル店舗と一緒で、閉店するお店もあれば新規に開店する店舗(サイト)もある。いかにコマースOneのfuture shopを使ってもらうかがポイントだ。個人向けではBASEの無料サイトがメジャーであるものの、future shopは99.0%が法人契約であることが特徴。
ネット通販サイト作成支援のBASE、決済支援「PAY.JP」など領域を広げる!(2023年3月18日投稿)
future shopのストック売上高比率は77.8%と80%台を割っている。しかしながら、四半期ベースでもストック売上高が微増となっており、ここが前四半期割れをしない限りは、コマースOneの業績に期待が持てる。
■コマースOneの財務状況は?
コマースOneの2023年3月31日時点の財務諸表をみると、現預金は16.1億円、ソフトウェア2.6億円、投資有価証券5.6億円となっている。負債は、有利子負債が47百万円くらいで目立った負債はない。財務的には極めて健全だ。利益剰余金が21億円まで積み上がっており、そろそろ配当をしても良いのではないだろうか。
コマースOneのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+1.6億円と当期純利益の6.8億円にくらべると小さい。法人税を2.8億円も納税していることも大きい。投資CFは△56百万円、財務CFは自己株式取得があり△1.4億円となっている。現預金は16億円となっている。
■コマースOneの株価推移は?
コマースOneの時価総額は約50億円。2023年3月期の1株あたりの当期純利益(EPS)は58.78円。現在の株価665円で計算すると実績PERは11.3倍となる。今期のEPSは45.85円を想定しており、14.5倍となる。売上高は前年比+10%以上の増収を計画しているものの、減益になる計画をしている。減益の理由としては、物価上昇による手数料の増加やマーケティング費用の増加を計画している。正直、かなり弱気な業績予想を出してきた感覚だ。
しかしながら、株価はかなり割安な範囲まで落ちてきた感覚がある。コマースOneは利益を出している企業であり、時価総額50億円というのは安すぎるような気がする。長期的に考えると、EC化はなくなることはないし、何かに代替されることはないのではないだろうか。
以 上