トレーディングカードゲーム(TCG)やモバイルゲーム、音楽ライブ、アニメなどオタクに特化したエンタメビジネスを展開しているブシロード(BUSHIROAD)。新日本プロレスも運営している。知的財産権を保有して、その作品やキャラクターをマネタイズすることを得意とする企業。バイダイナムコやコナミなどとも似たビジネスであるものの、特にオタクに特化したビジネスに偏っている。
■基本情報(2023年8月15日時点)
- 株価:559円(10年来高値:1,088円)
- 時価総額:337億円
- 予想PER:27.3倍
- PBR:1.56倍
- 予想配当利回り:0.95%
- 自己資本比率:46.6%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,291人(2022年6月30日時点)
■ブシロードの業績は?
ブシロードの2023年6月期の売上高は488億円(前年比+16.3%増)、営業利益33.9億円(前年比△0.1%減)の増収減益。ブシロードの売上総利益率は+34.6%(前年は+34.9%)、営業利益率は+6.9%(前年は+12.1%)と若干悪化している。
ブシロードの売上総利益は前年の147億円→169億円と+22億円の増加、販管費は前年の113億円→135億円と+22億円の増加となり、営業損益への影響はほぼプラスマイナスゼロとなった。売上総利益は伸びたものの、販管費もそれだけ多く使ったために利益が増えない結果となった。
■ブシロードの事業内容は?
ブシロードの会社名を耳にしたことがある人はそれほど多くないのではないだろうか。ブシロードはトレーディングカードゲームと呼ばれるTCGで有名な会社だ。昔のカードダスなどと同じようなカードだ。非常にオタクからは注目されている分野であり、大きく成長している領域でもある。
トレーディングカードゲームは自社が保有するキャラクターである知的財産権を活用したビジネス。アニメ、ゲームなどでブランディングをして、その知的財産に価値を持たせるもの。トレーディングカードゲームは原価が低いため、利益がでやすい傾向にある。
ブシロードの全体の売上高のうち、46.6%はトレーディングカードゲームによる。残りはデジタルコンテンツ、ライブエンタメ、MD(カプセルトイ)など。
■ブシロードの2024年6月期の業績予想は?
ブシロードが決算発表と一緒に発表した業績予想をみると、売上高は510億円(前年比+4.5%増)、営業利益20億円(前年比△40.9%)となり、EPSも大きく悪化している。なぜ、前年割れする利益を計画しているのか?
決算説明資料をみると、新規ゲームタイトルの投資として、研究開発費、人件費、広告宣伝費が増加することが減益の要因だ。ゲームタイトルによりIPという知的財産を育てる必要があるのは当然であるものの、なかなか投資家には理解されないのではないだろうか。
■ブシロードの財務状況は?
ブシロードの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は261億円、商品は約33億円、投資有価証券は41億円、繰延税金資産12.6億円となっている。負債をみると、有利子負債は約135億円となっている。財務的には健全だ。
ブシロードのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+19.8億円、投資CFは△23億円、財務CFは社債発行などにより+7.2億円となり、現預金は前期の231億円→236億円に+5億円の増加となった。
■ブシロードの株価推移は?
ブシロードの時価総額は約400億円。2024年6月期の予想EPSは17.32円にため、予想PER20~30倍で試算すると、予想株価は350円~520円くらいになる。現在の株価は470円くらいのため、もう少し下のほうで調整する可能性はある。上場来安値は345円のため、もしかすると、上場来安値まで下落する可能性があることに注意が必要だ。
ブシロードはトレーディングカードゲームを前面に出したビジネスモデルを構築している。トレーディングカードゲームのブームが去ることがないのか、その点には注意が必要だ。コンテンツビジネスとしては、双子社長で有名なcoly(コリー)も競合になる可能性がある。
コンテンツビジネスのcoly(コリー)、株価下落も割安感がでてきたか?(2022年12月25日投稿)
以 上