デジタルトランスフォーメーションの支援や顧客サービスのUI/UXなどのユーザビリティ改善支援などを行っているプロジェクトカンパニー。取引実績は、ソニー、日経新聞、indeed(インディード)、NTTデータ、SHIFT(シフト)など上場企業との取引も多い。クライアントの約60%は売上規模1,000億円以上の大手企業だ。プロジェクトカンパニーの業績と株価の行方は?
UI/UX調査のプロジェクトカンパニー、DX領域で急成長つづく!(2023年5月4日投稿)
成長性高いプロジェクトカンパニー、DX特需を取り込み高い成長率維持!(2023年5月7日投稿)
■基本情報(2023年8月18日時点)
- 株価:1,881円(10年来高値:7,790円)
- 時価総額:108億円
- 予想PER:25.2倍
- PBR:3.5倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:57.5%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,154人(2022年12月31日時点)
■プロジェクトカンパニーの業績は?
プロジェクトカンパニーの2023年12月期の第二四半期の売上高は31.3億円(前年比+68.6%増)、営業利益4.2億円(前年比+3.1%増)の増収増益。プロジェクトカンパニーの売上総利益率は+38.1%(前年:+42.1%)、営業利益率は+13.4%(前年:+22.0%)と悪化している。なお、2023年12月期の第一四半期の売上総利益率は+37.8%、営業利益率+15.3%とすでに悪化しており、業績悪化の傾向はでている。
プロジェクトカンパニーの売上総利益は前年の7.8億円→11.9億円と+4.1億円の増加、販管費は3.7億円→7.7億円と+4.0億円の増加となり、ほぼ増えた粗利をそのまま販管費に使っている状況だ。
■プロジェクトカンパニーの事業状況は?
プロジェクトカンパニーは決算発表と同時に、業績予想の下方修正をしている。あわせて、役員報酬の減額も発表。売上高は74.7億円→64.2億円と△10.5億円の減収、営業利益は12.7億円→7.2億円と△5.5億円の減益としている。
業績下方修正の理由を一言で言うと、人手不足。人材を獲得できない、ということ。コンサルティング企業全般に言えるものの、優秀な人をなかなか採用できない。プロジェクトカンパニーは人材仲介サービス会社のリクルートエージェント、DODAなどにコンサルタントの募集をしている。採用予定数は10名。
募集内容をみると、コンサルティング企業での経験3年以上の人材は想定年収900万円~1,000万円となっている。普通に考えると、900万円スタートだろう。東大、慶応大などの難関大学出身者が多数在籍している、とのこと。年間休日は128日と福利厚生は良さそうだ(本当に休めるかどうかは別にして)。
■増えない人材
プロジェクトカンパニーの従業員数は2023年3月末は247名、2023年6月末も247名と増減していない。2023年2Qに52名が入社しているものの、離職率がかなり高い。離職率は26%であり、ほとんど250名の会社で3か月間で約60名くらいが退職する環境だ。これで人材育成できるのだろうか。
プロジェクトカンパニーの社風というのか、とにかくたくさん入社してもらい、社風にマッチする人だけに残ってもらう人材戦略なのだろう。口コミサイトの情報をみると、それほどマイナスのコメントも多くない。「熱量が高い」「利益への貢献度が可視化されている」「仕事に熱心な人が評価される」など。
■プロジェクトカンパニーの財務状況は?
プロジェクトカンパニーの2023年6月末の財務諸表をみると、現預金は26億円、のれん11.4億円、敷金6.4億円。負債は、有利子負債が約13億円あるものの、財務的には健全だ。
キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+1.9億円、投資CFは△5.3億円、財務CFは+6.4億円となり、現預金は22.2億円→26.0億円と+3.8億円の増加。
■プロジェクトカンパニーの株価推移は?
プロジェクトカンパニーの時価総額は約110億円。売上高は成長しているものの、企業買収の影響も少なくない。2023年2月にDr.健康経営、アルトワイズをグループ会社化、2022年10月にクアトロテクノロジーズをグループ会社化、2022年4月にuloqoをグループ会社化している。企業買収を除くと、オーガニックの成長はそれほど大きくないのではないだろうか。
プロジェクトカンパニーの1株あたりの当期純利益(EPS)は74.3円。予想PERを20~30倍で計算すると、予想株価は1,400円~2,100円くらいになる。現在の株価1,890円くらいは妥当なレベルではないだろうか
以 上