海外旅行の現地ツアー仲介のベルトラ(7048)、コロナ禍での戦略は?

 海外の現地ツアーを中心にインターネットで予約できるサイト「ベルトラ」を運営するベルトラ。昔は「Alan1.net」という名称でサイト運営されていたものの、2012年に「ベルトラ」に名称変更。いまでは現地ツアーの予約サイトとしては日本国内でトップになったベルトラ。そのベルトラも新型コロナウイルスの影響により2020年12月期の第一四半期では売上高7.8億円(前年同期比△15.8%)、営業利益△0.3億円(前年同期は+2.4億円の黒字)と減収減益となった。

■基本情報(2020年7月17日時点)

  • 株価:411円
  • 時価総額:123億円
  • 予想PER:20.7倍
  • PBR:6.53倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:51.1%
  • 会計基準:日本基準

■苦戦する旅行関連、ベルトラの浮上は?

 2020年1月より新型コロナウイルスの感染拡大により国内・海外ともに旅行関連は厳しい状況がつづいている。海外旅行の現地ツアーをメインに取り扱ってきたベルトラにとっては、各国の入出国制限を含む世界的な旅行の自粛ムードにより、どうにも手を打てない状況がつづいている。大手旅行会社のHISも苦戦しており、旅行代理店、ホテル、飲食関連は軒並み厳しい状況だ。この状況がいつまで続くか見通せないことも不安要素のひとつ。

 ベルトラの2020年1月~3月の業績をみると、3月から営業収益(売上高)が3分の1になっている。それに伴い、3月の営業利益は△1億円の赤字。おそらく、2020年4月~6月も同様または悪化していると思われるため、2020年12月期の第二四半期(4月~6月)の数値はさらに厳しいものになることが予想される。

 ベルトラの連結ベースでの従業員数は約250名、一人あたり月40万円の人件費単価(社会保険料などすべて込み)で試算すると、人件費だけで毎月1億円かかる。ベルトラはオンラインの予約サービスであるものの、意外に固定費に規模感があり、売上高の激減は死活問題となる。

■ベルトラ、とても親切な決算説明資料!

 ベルトラの2020年12月期の第一四半期の決算説明資料を読むと、とても厳しい状況について数値で開示している点は評価できる。ウェブサイトの月間訪問者数が激減、予約数も大きく落ち込んでいることがわかる。現在の状況が続くかぎり、2020年12月期の売上高は前年の半分以下の12~20億円程度になる可能性がある。そのときに現在の時価総額約120億円を維持するのはむずかしい。ここまで親切に情報を開示している点をみると、投資家を大事にする企業の1社と評価できる。

■ベルトラの株価推移は?

 ベルトラは一時、時価総額500億円ほどあったものの、約1年ほどで株価は4分の1まで下落。2020年2月~3月のコロナショックで落ち込んだ後、5月~6月の反発も終わり、ふたたび下落に入ったように見える。ベルトラは海外現地ツアー仲介サイトとしては日本国内首位であり、ビジネスモデル自体は悪くない。ただ、旅行ツアー一括検索サイト「トラベルコ」を運営するオープンドアにしろ、売上高50億円くらいをなかなか超えれないのが旅行の仲介業界だ。市場規模がそれほど大きくないのが難点だ。まずは、株価がヨコヨコになるまで様子見が必要か。

以 上

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